TASC(Train Automatic Station stop Control:駅定位置停止装置)
TASCは、停車駅が近づくと自動でブレーキがかかり、停止位置にピタリと停まるものである。よほどのことがない限り、オーバーランをする確率が低い。
東急目黒線、東横線、JR東日本山手線、東武鉄道東上線(ホームドア設置駅のみ)はホームドアとTASCの導入を並行した。しかし、大井町線、田園都市線は車両の改造をしていないため、TASCを導入せず、当面は運転士のウデに頼るしかないのが現状だという。
特に田園都市線は相互直通運転先(東京メトロ半蔵門線、東武鉄道伊勢崎・日光線)の車両も含め、未整備のままホームドアの設置を進めている。将来、東急では21世紀に製造された車両に統一されるほか、東京メトロでも半蔵門線用新型車両が投入される予定だ。
東京メトロによると、将来は半蔵門線にATO(Automatic Train Operation:自動列車運転装置)を導入する予定だという。それに併せ田園都市線のTASC導入に期待したい。
停車時間
都市を中心にホームドアが“普及”すると、新たな課題も発生した。それは停車時間の見直し。
実際、大阪市営地下鉄時代(現・Osaka Metro)の千日前線で、ホームドア整備中に慢性的なダイヤ乱れが発生した。理由は停車時間が同じでも乗客の乗降時間が短くなったためだ。
定刻より少々遅れた電車が、駅に到着する前から発車ベルが鳴るという事態に、大阪市営地下鉄は急きょ千日前線のダイヤ改正を実施。停車時間を延ばすことで、乗降にゆとりを持たせた。その代わり、全線の所要時間が延びた。
また、ホームドア設置駅の御堂筋線(2駅のみ)、横浜市営地下鉄ブルーラインでも、ダイヤ改正で停車時間にゆとりを持たせた。
東急では現在のところ、ホームドア設置に伴う停車時間の見直しをする予定はないそうだ。
ホームドア以外でも
東急では、2017年11月から駅構内カメラを活用した「転落検知支援システム」を田園都市線鷺沼駅で実証実験後、2018年8月8日から上りホームで正式な運用を開始した。現在のところ、21時以降に稼働している。
このシステムは、既設の構内カメラの映像から、ホーム上から転落した人物や、転落に繋がる可能性のある人物などを自動的に検知するもので、事故防止につながるほか、早期に対処できるという。
なお、鷺沼駅のホームドア設置は2019年度を予定している。