他の会社が嫌がる仕事を引き受ける
なぜ中国等の海外ではなく、うちに仕事を頼むのかといえば、加工に技術と時間がかかる面倒臭い製品だったり。逆に単純すぎて他社がやりたがらない仕事だったり。納期ギリギリになった時に、「ニットーに頼もう」となって、ドカッと仕事が来たり。
「中小の製造業で多いのは、親会社の下請けとして常に同じ仕事を繰り返しこなすパターンですが、うちは違います。安定的に仕事をくれる親会社はありません。ですから自動車、オフィス家具、家電、医療機器等、いろんな業種の仕事を請け負います。他の会社が嫌がる仕事を率先して引き受けることが、うちの会社の生きる道です。それを可能にするのは社員の技術力の裏付けがあるからですよ」(藤澤社長)
板金の担当だけで20人ぐらいいますが、ほとんどが僕の父親ぐらいの世代の人たちです。僕は前の会社で板金の機械を3種類使っていましたし、ある程度自信がありましたが、この会社の職人さんの腕から見れば僕はまだまだ見習い中ですね。みんな仕事に入ると、目つきが違うんですよ。
「鈴木くんは若いけど、実はうちの会社の職人たちのまとめ役なんですよ」(藤澤社長)
さて、鈴木さんが一目も二目も置くベテランの職人とはどんな仕事振りなのか。なぜ職人のまとめ役が必要なのか。また、彼はなぜ父親のような世代の職人たちのまとめる役割を担えるのか。その辺の詳しいことは後編で。
取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama