橋本行きにも乗ってみた
特急新宿行きで新宿へ戻ったあと、19時20分発の〈京王ライナー7号〉橋本行きにも乗ってみた。先ほどと同様、相席。前方の席が埋まり、後方が空いている。毎回このありさまでは、乗客に“ロングシートの特急、準特急で充分”と判断されかねない。
新宿―橋本間の運賃は京王420円(IC運賃も同額)に対し、JR東日本800円(IC運賃799円)。加えて同区間は京王乗り換えなしに対し、JR東日本は八王子で乗り換えが生ずるほか、所要時間もかかる。まさに京王の独壇場だ。
また、新宿―京王永山・京王多摩センター間は、小田急電鉄とも競合する。運賃は京王320円(IC運賃319円)に対し、小田急の新宿―小田急永山間は340円(IC運賃も同額)、新宿―小田急多摩センター間は370円(IC運賃も同額)。小田急は2018年3月17日のダイヤ改正で、新宿―多摩線間の直通列車を増発した。
車端部の固定式ロングシートに指定された乗客も
〈京王ライナー7号〉橋本行きは定刻通りに発車。先ほどと同様、明大前で運転停車。調布では快速橋本行きを抜き、相模原線へ入る。
固定ロングシートは、着座幅の広さで“ゆとり”をさりげなくアピール。
車内は空席が多く、高校生と思われる男子生徒4人が車端部の固定ロングシートに指定された。向かい合わせにした状態で坐ると、会話が弾む。〈京王ライナー〉は、1~3番席、13~15番席の固定ロングシートも、座席指定の対象なのだ。着座幅をデュアルシートより45ミリ広い505ミリにして、快適性の向上を図っている。
多摩線と合流し、京王永山から座席指定解除となる。次の京王多摩センターで、区間急行橋本行きに接続するが、先ほどの京王八王子行きとは異なり、この列車に乗り換える乗客は少ない。
終点橋本に到着後、若葉台検車区に入庫し、1日の“お勤め”を終える。
その後も乗客は増えず、19時54分、終点橋本に到着。私の隣に坐る男性客も空席に移動することなく、終点まで乗車した。
橋本は、JR東海が建設を進めている中央新幹線(2027年度、品川―名古屋間開業予定)の駅が設置される予定だ。将来は〈京王ライナー〉と中央新幹線を乗り継ぎ、名古屋方面へ向かう乗客も現れるだろう。新宿―橋本間の所要時間は平均34.7分なので、朝から〈京王ライナー〉の中央新幹線アクセス列車を設定すれば、“新宿へは京王が近道”とアピールできそうだ。
様々な可能性を秘めた、〈京王ライナー〉の成長を楽しみにしたい。
取材・文/岸田法眼
2018年9月7日、初の著書『波瀾万丈の車両』発売。