明大前で運転停車
乗降用ドアが閉まると、運転士がミュージックフォーン(警笛)を奏で、定刻通り17時00分に発車。車内自動放送のあと、間をおいて車掌が到着時刻、車内設備を案内し、「短い時間ではございますが、ごゆっくりおくつろぎください」で締める。
京王八王子行きは府中までノンストップだが、明大前で運転停車(客扱いを行なわない停車のこと)。ここは井の頭線乗換駅で、正規の停車駅にすれば、利便性が高まるだろう。
車内では車掌が巡回し、指定された席に坐っていない乗客のチェックを行なう。座席指定券なしで乗車した場合、車内料金700円をその場で支払う。
さて、〈京王ライナー〉用の2代目5000系は2017年7月に登場し、9月29日から、一般列車で営業運転を開始した“簡易優等車両”である。
回転式クロスシートにセットされた状態。座席の向きはオレンジのレバーで変えられる。
座席は車端部を除き、先述のデュアルシート。ひじかけの内側にくぼみを作ることで、少しでも着座幅を広くするよう工夫している。〈京王ライナー〉運行時にオススメの座席は、各車両の5・8・11番席。夕方以降も車窓を楽しみたい人にとっては、うってつけだ。
車内設備は、無線LANやKEIO FREE Wi-Fiのサービスがあり、どの列車でも使用できるほか、〈京王ライナー〉運行時の特権として、各席に配置されたコンセントが使え、携帯電話などの充電ができる。
空気清浄器はパナソニックのナノイーを採用。車内の快適な環境づくりにひと役買っている。
車両の詳細は、こちらを御参照いただこう。
府中以遠は乗車率が高い
停止信号で止まったのち、調布で準特急京王八王子行きを追い抜く。私鉄で特急系列車同士の追い抜きは、珍しい。
府中で各駅停車京王八王子行きに接続。ここから座席指定が解除され、乗車券のみで乗車できる。このため、乗り換える客が多く、座席がすべて埋まる。皮肉にも〈京王ライナー〉は、ここから盛況する。府中以遠は特急と同じ駅に停車するので、乗客にとってはわかりやすい。
折り返し、回送となり、新宿19時00分発の〈京王ライナー7号〉京王八王子行きに充当される。
この日は東京競馬の開催に伴い、一部の列車に遅延が発生していたため、終点京王八王子へは定刻より3分遅れの17時42分に到着した。
参考までに、新宿―京王八王子間の大人運賃は京王360円(IC運賃も同額)に対し、JR東日本中央線の新宿―八王子間は480円(IC運賃474円)。所要時間や快適性は中央線の〈中央ライナー〉に軍配が上がる。一方、〈京王ライナー〉は運賃と座席指定券を加算しても760円なのだから、簡易優等車両の座席指定列車としては、妥当な料金といえよう。