ついに紛れもなき鬼のアタリが来た
しばらくして、今度は鯖が来た。塩漬けの鯖より、新鮮な鯖の切り身のほうが鬼の食いがいいというのは定説。だから船が塩鯖を積んでいても、早朝、鯖を狙うのだ。釣った鯖は船上にてナイフで切り身にする。左右3枚ずつ、1匹の鯖から餌を6つとれる。もちろん、新鮮な餌を使えばすぐ釣れるという、単純なものではない。しかし餌を替えて何投目かの9時過ぎ、紛れもなき鬼のアタリが来た。今年初の1kg超え本命だ。さらに次の1投で同クラスを連釣。
そしてそろそろ納竿(釣り終了)の10時過ぎ、明らかに鬼ではないながら、強烈なアタリが来る。本日最大の引き、最大の重み。十中八九サメだと思うが、序盤のサメと思った引きがメバル&カンコだったので予断は禁物だ。しかし上がってきたのは、やはり大サメ。残念とはいえフグ同様しばらくは夢を見られたのだから、これもまた楽しとしよう。なお、正林さんは最後まで小林さんだった。
本日は本命2匹・メバル2匹(カンコは正林さんに進呈)、十分な釣果だ。たった4匹で?と思われるかもしれないが、4匹とはいえこのサイズなら食べるには全く事欠かない。釣り道具洗浄と鱗・内臓・エラ取りは、釣った日にやるべきマスト・ミッション。この作業、かなり時間がかかる。睡眠不足、疲労、ビール渇望の身で、多数の魚を処理するのは辛い。当日も作業に約2時間かかった。
夜は正林さん懇意の居酒屋で、大将に調理してもらった獲物を肴に飲んだ。半分眠くてちょっと朦朧としたある種のトリップ状態で、ビールを飲み肴をつつけるのは、釣り人ならではの特権だ!? この日の鬼カサゴの刺身は、一際美味しかった。かつては締めずに鬼カサゴを持ち帰っていたが、ある時からやはり締めた方が美味しいということになった。でもそこは素人、締め方が上手くいったり、下手だったり。今回の正林さんは上出来だった(締め係はいつも正林さん)。頭の付け根を植木バサミで断つ。一般にはナイフで締めるのだが、植木バサミの方が強力かつ上手くいくという正林さんのアイディアだ。僕の竿は4本、正林さんは300本超と別稿で書いたが、モノ好きの正林さんはハサミ50丁超、ナイフ100本超お持ちだそうだ。何はともあれ、正林流の鬼ハサミ締めを動画でどうぞ。
ナイフで一気にとはなかなかいかないが、ハサミだと構造上の利点もあり素人でも上手く締められることしばしば。今回は1断ちでとはいかず、2断ちで締めたが結果オーライだった。
文/斎藤好一(元DIME編集長)。