人間エアコン開発のきっかけは?
このサラリーマンエアコンをはじめとした人間エアコンを開発したきっかけはどんなことにあったのだろうか。中西さんは次のように語る。
「東日本大震災の際の緊迫した節電需要がきっかけです。そのときの津波の映像をまじまじと見たとき、小学生のときのアイデアがよみがえり、開発に至りました。簡単に体を冷やすことができ、電気代もエアコンの20分の1以下と省エネで、体のみ直接冷やせるため、熱中症対策になると思ったんです」
サラリーマンに限らず使用可能
ところで、一般的に「冷却肌着」というと作業員に活用されているイメージがある。サラリーマンエアコンは、その点、意外性を感じる。スーツのサラリーマンにも需要があるということなのか。
「いいえ、スーツを着たサラリーマンは『F1』のようなもの。この“人間エアコン”は『汎用車』で使うようなものです。フォーマルな恰好をしたサラリーマンでも使用してまったく違和感がないことを広告で打ち出したかったため、そのような撮影を行ってサラリーマンエアコンと名付けました。
つまり『どこの現場で使っても違和感ありませんよ』ということが言いたいのです。もちろんスーツのサラリーマンでも実際使ってほしいですが(笑)」
熱中症対策は人間エアコンだけでは不十分
ところで、今年の猛暑もあり、サラリーマンエアコンをはじめとした人間エアコンへの問い合わせ、注文、取材が殺到しているという。中西さん自身、普段どのような熱中症対策をしているのか。「一言ではとても熱中症対策は語れません。数週間の教育が必要です。ただ単に人間エアコンのようなグッズを使えば、熱中症にならないというわけではありません。熱中症については、生活からトータルで注意しなければならない、非常に奥深い問題なのです。
人間エアコンはあくまで熱中症予防のシステムです。使用者は生活のコンディションも整えておく必要があります」
サラリーマンは、人に気付かれずひんやりしていられるメリットだけでなく、省エネ効果も期待できる。熱中症予防の一つのグッズとして備えておくのもよさそうだ。
【取材協力】
サラリーマンエアコン(人間エアコン)開発者 クールスマイル 中西雄三さん
たった一人ですべての工程をこなし、10人力で仕事をしている。一人は人類を暑さから救う。ポケットマネーで開発し、7年赤字なまでも、使命が動かしている。
https://coolsmile.jp/
取材・文/石原亜香利