いったん譲歩すると、ますます、自分の考えを押し通そうとする
言い換えると、分かち合えない人とは深入りをしないことだ。その人は、自分の考えが正しいと信じて、自説にこだわる。こちらが何かを言えば、否定されたと思い、感情的になる。少なくとも私の観察では、自分の考えをごり押しする人は相当な自信家であるか、自分に自信がないのか、反論や意見を決して認めない。つまり、分かち合えるような相手ではない。こちらがいったん譲歩して歩み寄ると、ますます勘違いし、考えを押し通そうとする。しかも、間違いだらけであるのだ。その行きつく先が見えるから、私はバリアを張る意味で関わらないようにしているのだ。
そんな相手にも、ある程度は分かち合わないと干されてしまうと警戒する人もいるだろう。たしかに、そのようになるのかもしれない。しかし、それほどに深刻に考えなくともいいのではないか、と言いたい。あなたが会社員ならば、ごり押しする上司がいたとしても、あなたを辞めさせることはまずできない。私のようなフリーランスである場合、その相手とは縁が切れて、一定期間、仕事を失い、収入が減ることがある。これも問題ではあるが、ひたすら、間違った考えをごり押しをする人と長く関わると、精神が破壊される。そこから、心の病などにならないとも限らない。こういうリスクのある人とは、離れるのがいいのだ。
最後に。私のようなアプローチは、フリーランスだからできるのだと思う人もいるかもしれない。そのような一面はあるかもしれないが、ごり押しをする人は相手を見ていることをどうか、忘れないでほしい。つまり、あなたが「会社員である以上、ごり押しをする上司には従わないといけない」と思うと、その弱気のオーラ―が上司に届く。すると、上司はどんどんとあなたのフィールドに入り、あなたの心や自尊心を踏みにじる。そして、間違った考えを押し通してくる。得てして、このタイプは相手のことを想像する力が著しく弱い。上司の指示には基本的には従うべきではあるが、時には「黙秘」に近い行動をして「安易に従わないぞ」というメッセージを態度で伝えることも必要だと私は思う。繰り返すが、「黙秘」はお勧めだ。私は、得意だ。
文/吉田典史