
AI(人工知能)が一般化していくにつれて、我々の業務がAIに置き換わっていくことは、効率化という恩恵をもたらす一方、人間の出る幕がなくなるという懸念がささやかれている。これから、AI時代にはどのような人材が求められていくのか。そのスキルや資質を知るべく、求められる人材像を識者に聞いた。
AI時代に特に重要なスキルとは?
総務省の「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(平成28年)によると、AIの活用が一般化する時代に求められる能力として、特に重要だと考えるものは何かを有識者に対して尋ねたところ、「業務遂行能力」や「基礎的素養」よりも「チャレンジ精神や主体性、行動力、洞察力などの人間的資質」や「企画発想力や創造性」を挙げる人が多かった。
また日本の就労者は「コミュニーション能力やコーチングなどの対人関係能力」が求められると回答した人が35.9%とトップとなった。
いずれにしても“人間らしい”、人間にしかできない部分のスキルが重要になってくることが読み取れる。
AI時代に求められる人材とは?
AI時代が来ると、人が行う仕事が奪われるといわれているが、AIに置き換わったときに求められる人材とは、具体的にはどのような人材なのだろうか。
ITエンジニアでIoTや人工知能などの最新技術の評論家である伊本貴士氏に聞いた。
「まず理解していただきたいのは、人工知能が代替するのは職業そのものではなく業務の一部であるということです。例えば会計士という業務は人工知能に置き換わるといわれていますが、そうではなく、会計事務所が行う仕事の一部を人工知能が人間に代わって行うようになるということです。
実際、人工知能の登場によってカメラで伝票の写真を撮ることで仕訳は自動入力されるようになりました。ただ、経営者の悩みに答えるコンサルタントとしての会計士はこれからも必要です。
このように、人工知能はロボットなどの助けを借りて『定型化された単純作業』を代替します。
逆に人工知能にはできない業務といえば、『創造性を必要とするクリエイティブな業務』『高度な人間に対するコミュニケーションを必要とする業務』『複雑で定型化できない作業』になります。これらを行う人材は今後も必要とされます。
また、当然ですが人工知能を開発・管理するエンジニアは圧倒的に人数が足りません。よって高度なITエンジニアはあらゆる分野で必要とされ、複数企業が高い報酬で取り合いするようになるでしょう」