フルサイズのボディーにAB級で手堅くまとめたパイオニアのアンプ「A-40AE」はNautilus 801を鳴らせるか?
2018.07.28クリアな電源供給
2番目のクリアな電源供給はインバーター機器が増えて、電源が汚れたことから注目されてきた。究極の方法はDC電源方式にしてAC電源から充電池に充電して使う。JeffRolandのパワーアンプにも採用された方法で、日本ではTechnicsがプリアンプに採用した。非常にコストがかかるためハイエンドモデルにしか使えない方法だ。AC電源自体をクリーンする方法として、いわゆるマイ電柱、すなわちマイ柱上トランスを立てるという方法もある。もっとコストがかからない方法なら、電源部を独立させ、さらにアナログの左右とデジタル部で分けてアルミ合金削り出しのケースに収めるとか。今回、パイアオニアが採用した方法は、トランス内部で巻線をプリ、パワー、マイコン用に分離。さらにトランスからの配線を立体的に空中配線して相互干渉を排除したという。何という地味な方法だろうか。トランス自体をプリ、パワー、マイコン用に独立させたいところだが、なんせ5万円クラスのプリメインアンプなので、そんな贅沢はできないのだろう。
トランスの巻線を独立させた3系統独立電源回路とトランスの線材処理を実施。
真空管アンプのディスクリート配線のように線材を捩ってタテ方向にまとめている。
クリーングランド設計
『A-40AE』がおこなったのはグランドの1点化、すなわち1点アースだ。電源とグランドの共通インピーダンスをなくすための方法が1点アースである。つまり、この話、続けますか? なかなか説明が退屈で面倒なので、これ以上は触れないが、1点アースに対して多点アース、ベタアースなどがあり、用途によって使い分けているのが現状。低周波の回路では1点アースが基本なので、『A-40AE』は基本に忠実なアンプと言える。
これ以外にも『A-40AE』は定在波制御インシュレーター、オーディオ用パーツの採用、ボリュームスタビライザーなど細かい点までこだわっている。
整流回路に使われる電解コンデンサーはエルナーに特注したパイオニア専用部品である。
定在波抑制インシュレーターはルーロ-の三角形を使い内部の平行面を排して、定在波を抑えている。ボリュームのノブはフィーリングの向上と同時に制振効果のあるスタビライザーが加えられている。
3Dプリンタを使って試作されたインシュレーター。試聴によって形状を追い込んでいるそうだ。
『A-40AE』の弟モデルに『A-10AE』がある。DACを内蔵せず、ダイレクトエナジーコンストラクションを省略するなどで、直販価格3万6050円(税込)となる。