資料構成
・調査データと数字、事例を多用する
・同業他社の事例、(成功例だけでなく)失敗例を入れる
・スライド枚数は多くても2分につき1枚(30分の説明なら最大で15枚)
・30分以上のプレゼンの場合は5枚に一度はインパクトスライド
調査データや事例、実績や目標の数字が盛り込まれると、資料で主張する点の信憑性が高まります。注目すべきは、きらびやかな成功例ではなく失敗例や苦労した例を知りたがっていること。また、役職が上位にいくほど競合他社の事例が印象に残っています。市場シェア拡大などの目的を明確にして、その実現手段を説明するときにはデータを使って裏付けていくのが効果的です。
聞き手の興味と集中力を維持する為の考慮も必要です。聞き手が目線を落としてスマホをいじり始めたり、ウトウト眠り出したらおしまいです。その点で、意図的に刺激を与える資料(インパクト・スライド)を適度に入れると効果が出ます。ています。外資系企業でよく使われる手法ですが、スライドに画像や映像を挿入して聞き手の目を覚ますのです。例えば、競合優位性の説明であれば、子供が争っている画像を使ってニンマリさせる、収益構造を変える新規ビジネスであれば、新たな水槽にジャンプする金魚のサウンド入り動画を挿入すれば寝た人も起きます。
黒バックの威力
今回の調査で、カラーや大きさ、画像などのアクセントを使うと記憶に残りやすいことが分かりました。そして、最も意思決定に影響を与えたスライドの一つが「黒バック」です。背景を黒にしてアクセントを付け、白と強調カラーで文字を記載されたスライドです。一般的に白が背景の資料が多い中では目立ちますし、文字数が少なく頭にも入りやすいのです。弊社が開催している資料作成講座でも、この黒バックスライドの活用を推奨し、74%の受講者が実際に使用して効果があったと答えました。
予想以上にコンパクトでシンプルな資料が、意思決定者のハートに響いたことが分かりました。成果につながらないことに時間を費やすのは生産性が低いです。派手な資料を作ることに時間を割くのではなく、相手を動かすためにはどのような内容、デザイン、構成にすべきか考えることに時間を割き、そのうえで作成作業を進めてください。
文/越川 慎司
株式会社クロスリバー社長。元マイクロソフト役員でofficeビジネスの責任者。2017年に起業し、企業の働き方改革や海外進出を支援。週休3日で新しい働き方を実践中。
『新しい働き方~幸せと成果を両立するモダンワークスタイルのすすめ~』著