■連載/個人で始める働き方改革!ショートカット仕事術
第9回 意思決定者のハートに響く資料とは
散歩をしていたら富士山の頂上に着いたという人はいません。目標を明確にして、それを目指さないと成果は残せません。資料作成は手段であって目的ではありません。資料を通じて相手と共鳴し、思いどおりに相手を動かすことが目的です。理解させて行動を促す、行動を起こすために同意を得る、顧客に提案を受け入れてもらい契約をする、などが目的です。
では、どういう資料で人が動いたのでしょうか。弊社クロスリバーで868名のビジネス意思決定者に対して「どういう資料があなたの意思決定に影響を与えましたか?」を聞き、一部のPowerPointスライド資料を共有してもらいました。また、クライアント企業25社が作成した2.7万枚を超えるPowerPointスライドとその提示後の結果もAI分析し、意思決定に繋がるスライドのパターンを見つけました。
デザインの特徴
・カラーは1スライドにつき3色以内
・1スライドの文字数は135文字以内
・文字フォントサイズ 18pt以上
・スライド内に空白がある
・1スライド内の矢印図形は4つ以内
・カラフルなグラフは少ない
資料を作成する側にとっては、135文字以内に抑えるのは難しいと感じるかもしれませんが、資料を見る側はこの範囲に収めて欲しいと思っているのです。意思決定者へのヒアリングによると、「小さい文字いっぱいの資料をみたらうんざりする」と答えた方が68%もいました。見る時間を省略したいという効率面だけでなく、「作った人がどれだけ考え抜いて重要な情報をしっかり纏めたか」を見ていることが分かりました。重要なことに絞ることができる人は、重要度と優先度を見極めて物事の本質を捉えることが人だと思われているようです。このことから、資料は情報を盛る事よりも絞ることが必要であることが分かります。
また、特に「伝わって欲しいポイント」が注目されるように工夫しているスライドが結果を残していることも分かりました。複数のカラーや矢印、小さい文字を並べるのではなく、シンプルなデザインで文字の大きさ空白を使って注目ポイントへ視点を誘導しています。
以下のスライドは響く資料のサンプルです。カラー3色、116文字に抑え、握手のアイコンと前後の空白を使って、2つのポイント「石油危機から~」と「省エネ法で~」に視点がいくように設計されています。