ちなみにパワーユニットのお薦めは、CX-3、XC-5同様にクリーンディーゼルである。ロードノイズの低減から(全体的な静粛性は3~4dB向上!)、ディーゼル特有のノイズ、ザラつき感が以前よりほんの少し目立つようにはなったけれど、出足、低速域から豊潤なトルクが発揮され、速度に乗ったときの静粛性はむしろガソリンエンジン車同等以上。これは、トルクがあるぶん、同じ速度で巡行したときのエンジン回転数が低い(80km/h巡行でガソリン車は約2000回転、クリーンディーゼルは約1800回転/ギヤ比も異なる)ことも理由のひとつ。
エンジンを回した時のサウンドがガソリンエンジンは高音寄り、クリーンディーゼルは低音寄りで、より耳障りでないことも、静かに感じられる要因だろう。オプションのBOSEサウンドシステムはアテンザの室内空間に最適にチューニングされ、個人的にも大好きなリニアリティあるゴキゲンなサウンドを聴かせてくれた。
なお、横浜周辺の一般道、首都高(みなとみらい→大黒埠頭PA往復)走行での実燃費はガソリン車が13.1km/L、クリーンディーゼル車が17.2km/Lだった。価格差はそれなりにあるものの、より豊かなトルクがもたらす走りやすさ、ランニングコスト、航続距離の面でもクリーンディーゼルに優位性があると思えてならない。快適で静かな室内、G-ベクタリング効果も絶大なハイレベルな安定感によって、ドライバーが何時間もステアリングを握り続けてもストレスフリーであることは間違いない。さらにアテンザはほかの最新のマツダ車同様、車酔いしやすい子供(G-ベクタリングによる)、ワゴンは愛犬を後席、またはラゲッジルームに乗せるにもふさわしい1台と断言できる。
マツダ・アテンザ
http://www.mazda.co.jp/cars/atenza/
文/青山尚暉
モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。