そうこうしている内に時間が迫ってきた! 絶対に……絶対に失敗できない……俺はできる……できるんだ!
アアアァァアイイイイィ! (無駄に気合を入れてストップウォッチを止めましたが、結果は295.4秒でした)
しかし落ち込んでいる暇はない! まずは粉末スープを入れる。次にクリップで液体スープを搾り取る!
いや、熱いわ! 液体スープの袋が熱い! 50度近いな! きちんと作ればこんなに熱いのか!
袋の端に残る液体スープを箸でつまんで……。
一気にまぜる!
できた! 「作り方」を完全遵守したとはいえないけど……できたぞ!!!
そして食す! いただきます!
うん! うまい!!! うますぎる!!!!!
完璧なカップラーメン作りは人生と似ている
最後に、この企画に挑んだ正直な感想を述べたい。
真のカップラーメンを作ろうと意気込んだのはいいものの、完璧を目指せば目指すほど、問題点が浮き彫りになり、そのたびに頭を抱えた。特に仮説の段階で出た「誤差」については、本気で解決しようとすると専門機関に足を運ばねばならず、個人の限界を感じた。
それでも決して諦めることなく、妥協を重ねて「できる限り完璧なカップラーメン」を作ることができた。
これは、人生でも同じことが言えるのではないか。
完璧な人生を目指していい。将来に夢を見てもいい。しかし、途中で必ず困難にぶち当たる。そのとき、どこまで妥協できるか。自分に折り合いをつけて、少しずつ前に進んでいく。できるだけ自分の望む完璧を目指して生きる。その繰り返しが人生のはずだ。
完璧を目指して作り上げたカップラーメンは完璧といえなかったけど、うまかった。きっと達成感の味が混ざっていたのだろう。
めちゃめちゃうまかった。
取材・文/いのうえゆきひろ