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会社員の経験が浅い人がフリーランスになると行き詰まる理由

2018.07.03

3、処理能力を高くする機会が少ない

 会社員をしていると、通常は処理能力が高くなる。上司や取引先、クライアントの考えやニーズを素早く理解し、それを何らかの形でアウトプットする力も処理能力といえる。場数を踏むことでより正確に、より速く処理できるようになる。処理能力は経験を積まないと、身につかない。フリーランスのような雇用が不安定な身では難しい。会社員は安定した立場であるから、同じような仕事を大量にこなすことができる。処理能力を高いレベルに持っていくことができうる。

「仕事ができる人」は、この処理能力のレベルが概して高い。高いから、「あの人に任せよう」となる。そして、この処理能力は30代前半までくらいにある程度決まる。会社員の経験が浅いまま、フリーランスになると、処理能力が一定レベルに達する前に「自営業」となる。これは、大きなハンディとなる。

4、自信を持っていない

 ほとんどのフリーランスは「下請け」的な扱いでスタートし、様ざまな意味でみじめな思いをする可能性が高い。それを乗り越えるためには、一定の経験やそこでつかんだ見識が必要になる。「がんばろう」と言い聞かせたところで、空しい結果になる。自分を信じるだけの経験や実績に乏しいからだ。そもそも、自信がある人は「がんばろう」と自らを奮い立たせることをしない。自然体で乗り越えていく。

 ビジネスにおける自信は、経験を積む中でつかんでいくしかない。フリーランスは、経験を積むことがある意味でできない。「積む」以前に、多くは仕事を失い、収入が減り、生活ができなくなり、廃業する。一時的に収入が増えたとしても、その後の人生での同世代の大企業やメガベンチャーの社員の賃金と比べると、相当に少ない。フリーランスには退職金はなく、労働保険や社会保険なども会社員に比べると見劣りする。金融機関からお金を借りる場合も、大きなハンディがある。賃貸マンションを借りる時にも、ハンディアはある。こういう中で、「自分はできる」「がんばろう」と言い聞かせても、なかなか続かないものなのだ。

 最後に…。最近、フリーランスを報じるメディアや識者が増えている。それらの報道を見ると、「自由で、柔軟な働き方」という側面だけからとらえていることが多い。メディアとしてある一断面だけを強調するのは問題があると私は思う。そのようなこともあり、フリーランスの「影」にも目を向けてみた。

文/吉田典史

■連載/あるあるビジネス処方箋

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