東京都交通局では、都営浅草線4代目車両の5500形が2017年9月に登場。実はJR東日本E235系をベースにアレンジした、初の私鉄・公営車両である。12月9日の「都営フェスタ2017 in 浅草線」で、初めてメディアや来場者(約1万1000人)に披露され、注目を集めたのち、2018年6月30日、ついにデビューする。
■スタイリッシュとスピード感を強調したデザイン
都営浅草線は京浜急行電鉄(以下、京急)、京成電鉄(以下、京成)、北総鉄道、芝山鉄道と相互直通運転を行なっており、京急の羽田空港国内線ターミナルと京成の成田空港が鉄路でつながっている。また、銀座、浅草、東京スカイツリーといった観光地を結んでおり、2016年度の1日あたりの乗車人員は約72万人で、2010年度に比べ約10万人増加している。
さて、5500形の前面デザインは、歌舞伎の隈取りを現代風にアレンジしたもので、スタイリッシュとスピード感を強調したように映る。同局が制作した期間限定公開のPR動画「KABUKI UNDERGROUND」は、歌舞伎俳優の中村壱太郎などを起用し、5500形と歌舞伎の躍動感を融合。力強い車両を強烈かつ鮮烈にアピールしている。
前照灯、尾灯、急行灯は、すべてLEDを採用。ヘッドライトの内側点灯時はロービーム、両側点灯時はハイビームとしている。
車体はステンレスで、総合車両製作所のブランド「sustina」(ステンレス鋼の略号「SUS」と、「Sustainable」を組み合わせた造語)を採用。魅惑的な車両デザイン、環境親和性の高い車両、信頼性確保と車両ライフサイクルコスト低減の両立などが特長だ。エクステリアは、側窓や乗降用ドアにフレームがないので、従来のステンレス車体に比べ、見栄えがよい。
5500形先頭車のサイドビュー。ピクトグラムは戸袋の上に配した。
車体側面は上部と乗降用ドアをラインカラーのローズ。戸袋部分をブラック、一部は金の帯を4本入れ、翼をイメージしているように映る。前面ザインと同じく、スタイリッシュとスピード感を強調しているのだろう。また、乗降用ドアの窓も上空から眺めた翼に映り、エクステリアデザインは、スピード感をハンパなく追求ようだ。
デジタル方向幕はフルカラーLEDで、種別や行先などを表示。車体側面については、JR東日本のE233系、E235系と同様、駅停車中は、次の停車駅も表示する。
注目は3号車。車内外とも弱冷房車ステッカーの「弱」の字が大きい。それを見ていると、20年以上前に放映された、安達祐実の“具が大きい”カレーのCMを思い出す人もいるだろう。