誰も知りたくないかもしれないが、私、編集・テラダの入浴時間は超短い。そう、いわゆる〝カラスの行水〟だ。高校生の頃、プロ野球のテレビ中継を見ている途中に風呂に入ったのだが、出てきたとき、まだ同じバッターがバッターボックスに立っていたことがある。それぐらい短い。もちろん、その間にちゃんと頭も体も洗い、湯にも浸かっている。改めて考えると、私にとって入浴とは、あくまで1日の汚れを落とすためであり、リラックスするために入るという感覚がないからといえよう。
そんなテラダが、LIXILのバスルーム最上位シリーズ『SPAGE (スパージュ)』の入浴体験させてもらった。肩湯、打たせ湯など、温泉旅館やスーパー銭湯(以下、スパ銭)でしか体験できないような〝湯のエンタメ〟を楽しめるというが、ここでも〝カラスの行水〟で済ませてしまうのか?
■静かなジェットバスというのもいいものだ
今回、体験したのは『SPAGE』の中でも、よりアクティブに湯を楽しめるという「プログレッシブライフ」をコンセプトにしたPZタイプ。天然石を再現したタイルなど、モノトーンを基調としたシックなデザインは、高級ホテルのバスルームのよう。浴槽も単に足を伸ばせるだけでなく、緩やかな角度の背もたれ、足を乗せられるベンチなどがあり、見るだけでゆったりできそうな予感がする。
普通のお風呂と違うのは見た目だけではない。2つのリモコン、2つの操作パネルを壁面に設置。右からテレビ用、照明用、ジェットバス&肩湯用、オーディオ用で、LIXILさん長湯を楽しませる気、満々の自信がうかがえる。まず気になったの「ジェットバス&肩湯」のパネル。自宅ではまず楽しめない機能ゆえ、迷わず「入」にすると、湯船に水流が噴出した。
だが〝スパ銭〟などでよく使うそれとは、少し違う。波こそ水面に立つが、泡が出ないだけでなく、音も静かなのだ。LIXIL浴室開発部の中野悟和さんに話を聞くと、
「エアーを含まない水流・防音カバー付きのポンプを使った『サイレントジェットα』です。従来のジェットバスは、マンションで作動させたとき、階下にその音や振動が伝わることがありましたが、その心配を低減。それに激しい水流の音がしたら、テレビや音楽を楽しみながらの長湯を楽しめませんからね」と答える。
直接的な水流で、疲労がたまりやすい腰や肩をほぐせる『ストレート水流』と、体を包み込むように温める『ワイド水流』に切り替えができる。
中野さんが言うように、確かにテレビの音声もよく聞こえる。水流の音がうるさいと、テレビのボリュームを上げるしかなく、結果、騒がしくとなってしまいリラックスムードとはかけ離れた空間になってしまう。「なるほど!」と思わせる進化だ。
10分入浴後のサーモグラフ。左が通常の半身浴、右がサイレントジェットαを使った半身浴。腰から背中にかけて体温が高まっているのがわかる。