■連載/あるあるビジネス処方箋
私の同世代の管理職や役員と話をしていて気がつくのは、トラブルを起こす人は様ざまな人と衝突や対立を繰り返している傾向があることだ。たとえば、2010年の暮れ、
200人ほどの出版社の30代前半の編集者と組んで仕事をした。その編集者は激高型だった。取材相手である会社の広報担当者と電話やメールで摩擦を起こす。外注先である私にも興奮して攻撃をしてくる。デザイナーとも口論になる。いいものを作ろうとして自分の考えや思いを押し通そうとするあまり、相手への配慮をまずしない。本人としてはしているのかもしれないが、1つずつの言葉が攻撃的で、まるで警察の取り調べのような口調になる。
仕事のレベルは30代前半の編集者の中ではむしろ高いほうだが、人間関係処理能力が極端に低い。特に相手が心や感情を持っているという現実を受け入れることができない。摩擦が起きたら、仕事が前に進めなくなることを体で理解していない。ひたすら、自分の主張をする。2010年当時、私はこの編集者から激しく攻撃を受け、理解に苦しむものがあった。自分にも落ち度はあったのではないか、と自問自答した。しかし、彼が実は誰にでも同じような行動をとっていることを知らされると、妙な納得をした。と同時に、怖いものも感じた。
その後、この編集者の上司である役員と話をしていると、さらに深く知る。たとえば、ほかの社員とも激しくぶつかり、怒鳴りつけたり、私生活では結婚をしたものの、1年以内に離婚をしたり、と実にトラブルが多い。様ざまな生き方があるのかもしれないが、相手の心を傷つけている面が多々あることは否定しがたい。
なぜ、こういう人を取り上げたのか。それは、職場においてこのタイプの社員から理不尽な思いをさせられたりする人が少なくないのではないか、と思うからだ。本来、会社である以上、秩序を重んじるべきであり、このような社員には厳しいペナルティーを与えるべきだ。さすがに周囲の社員を怒鳴りつけるのはよくないだろう。そうでないと、多くの社員が安心して働くことができない。ところが、私が取材を通じて観察していると、役員など上層部から一定の評価を受けている。そして同世代の中では管理職に速くなっている。