■楽しいばかりじゃ成長しない
ピーチ・ジョンにとっても、若い女性がターゲットという点では同じ方向です。ドラッグストアは先方にとって新しいプラットホームなので、人気のあるボディケアとのコラボは、自社の認知度を高めることにつながるはずです。
「私たちは若い女性たちに、もっとボディケアを知ってもらいたい。それと同時に、ピーチ・ジョンが対象とする20~30代への認知を幅広く獲得していきましょう」
先方とのコラボは、そんな話し合いの中で決まりました。「パッケージのデザインで、コラボをしたい」というのは、こちらからの提案です。コンセプトは女の子がワクワクするデザイン。「寝る前にボディケアを使った若い女性がインスタグラムやツイッターに載せたくなる、そんな可愛いボトルデザインにしたいですね」「SNSに載った時にみんなから羨ましがられるようなものにしたいね」と、話は盛り上がりました。
ボトルの形は同じ、ピーチ・ジョンデザインはラベンダー等、女の子が手に取りやすい3種類にしました。さて、キャンペーンはどのように展開していくか。
ツイッター上でキャンペーンを展開しよう。リツイートしてくれた中から、ピーチ・ジョンのパジャマと、ボディケアのボトルを抽選でプレゼントする企画をはじめました。いろんな人に拡散してもらうための費用はあえて使わず、自発的に参加をしてくれる人を募ったのです。
ボディケアに関して、長年大きなニュースニュースがなかったところに、他ブランドとのコラボは会社にとっても私にとっても、チャレンジでした。果たして予想した通りうまくいくのか。
私からはピーチ・ジョンの担当者から頂いた言葉を紹介します。
「当初予定していたよりも、キャンペーンへの参加率が多くてびっくりしました」。分析の結果、通常のコラボと比べて、約8倍のアクセス数があったそうです。
「楽しいばかりじゃ成長しない。ちょっとしんどいなと思うところに身を置くと、伸びるね。適度にしんどい、そんなストレッチが成長には必要だ」それは、マーケティングの部署に配属された当初の上司の言葉です。今、なるほどなと実感しています。
学生の頃は新しい価値や製品を世の中に発表して、消費者の行動を変えていくのがマーケティングの仕事だと思っていたのですが。それは一人ではできない。ユーザーへの伝え方、PRのやり方、デジタルの発信の仕方、ファイナンシャルの見解も含め、チームでマネイジメントしていく。マーケティングの仕事とはそういうものだと、これも実感させられました。
さて、ボディケアに関して、これからどんなマーケティングを展開していくのか、詳しいことはまだ言えませんが……。こうして20代でブランド戦略やキャンペーンのプランニングの仕事に携えるのは、外資系企業ならではの恵まれた点ですね。
取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama