■意外と頑固な自分に気づいた
2016年にマーケティングを担当したニュートロジーナのボディケアは、保湿機能を重視した30代以上の女性向けのシリーズですが、2016年にリニューアルをしまして。このシリーズの保湿性の強みは、クリームにグリセリンを配合しているところで。以前はノルウェーの漁師の手が、なぜ荒れないのかというテレビCMを通して、それを強調しましたが。新しく知花くららさんを使ったCMは、機能性とともに気品ある女性が、しっかり保湿できるブランドですという点をアピールしました。
グリセリン配合によるニュートロジーナの優れた保湿性は、CM等で浸透していましたが、アルガンオイルを含んだ製品の発売は私がマーケティングを担当してからでした。保湿力の高いオイルでマッサージした後、グリセリン配合の保湿クリームを塗る。二つを併用することでより完璧な保湿ケアとなるという提案です。テレビCMだけではなく、雑誌等のメディアに集まっていただく機会を作り、知花くららさんに、特に乾燥を感じやすい足の保湿のシーンを演じてもらって。真面目で堅いマーケティングを実行しましたが、
「本当にユーザーは二つ使うのかな?」そんな疑問の声も、営業サイドの一部から上がりました。これまでニュートロジーナを使っていたお客様が、果たしてもう一つ買うだろうかという疑問です。
「今のお客様は、本当にいいものにお金をかけます」オイルとボディローションの二つを使うのは、今の女性のトレンドで、ニュートロジーナのユーザーは、より良い保湿効果が得られるアルガンオイルを必ず使ってくれると。そんなことを補足資料に加えたり言葉にできたのは、やはりマーケティングに配属され、上司に分析について厳しく言われたことが、役立ったのかもしれません。
ジョンソンボディケアは、マーケティングの部署に配属された2016年から担っています。その年、赤ちゃんのお肌にも使うことが出来るベビーオイルを、ボディケアの一部に配合したのですが、ユーザーにそれがしっかりと伝わる準備ができていないと、私は危惧を抱いていました。
そこでシュリンクボトルといって、ベビーオイルを配合したボディケアのボトルに、もう一枚別のベビーオイルをイメージするデザインをパッケージする、そんな販促物を提案したんです。
「ベビーオイルが入っていることをより強調するために、シュリンクボトルにしたいと言われても、発売まで時間がありません。とても無理です」。シュリンクボトルの加工等を行う部署のスタッフの声に、「ユーザーにメッセージをしっかり伝えたいんです。是非ともお願いします」という感じで、私はなんとか加工時間を早めることをお願いして。シュリンクボトルの実現は譲りませんでした。
「濱津さん、意外と頑固だねぇ」
シュリンクボトルはショップの棚に並びましたが、チームの仲間からそう言われたことを覚えています。
そうだ、私は以外と頑固なんだ、自分でも気づかなかった一面を知った出来事でもありました。
これは2016年の出来事である。2017年のボディケアのマーケティングでは、濱津さんの頑固さに裏打ちされた秘策が実現し、クリーンヒットすることになるのだが、そのお話は後編で。
取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama