■連載/ヒット商品開発秘話
ヨーグルトと並び健康のために食べる食品といえば納豆だろう。毎日食べるのが習慣になっている人も多いはず。いま、健康のために納豆を食べる人たちが注目しているのが、タカノフーズの『すごい納豆 S-903』である。
2017年2月に発売された『すごい納豆 S-903』は、免疫力アップが期待できる「S-903納豆菌」を使って製造。添付のたれには、同じく免疫力アップが期待できる「シールド乳酸菌®」を100億個配合した。発売と当時に話題を集め、売れ行きは計画の約2倍で推移。2018年3月末時点で5900万食(1食:40g/パック換算)に達した。
■健康効果が期待できる「S-903納豆菌」の発見
納豆はヨーグルトほど研究が進んでおらず、なぜ体にいいのか、何が体にいいのか、といったことが、ほとんど解明されていないという。『すごい納豆 S-903』の誕生は、このような現状から高い機能を持った納豆菌を探査したことがきっかけになった。執行役員営業推進部門 部門長の小田篤氏は、次のように話す。
「当社は2002年に、S-903納豆菌を発見しました。この納豆菌の機能を調べたところ、健康をサポートする効果が期待できることが判明したので、S-903納豆菌で納豆をつくってみることにしました」
研究はその後、花粉症の症状を和らげる効果も期待できるのでは? と仮説を立てて継続。その結果、2007年に特許を出願し、2012年に「免疫に対する機能性を高めた納豆及び抗アレルギー用組成物」で特許を取得するに至った(特許番号第5090704)。
ところが、特許を出願した2007年に、「S-903納豆菌」を使った納豆の開発が中止となる。理由は、「S-903納豆菌」は納豆づくりには向いていなかったためであった。「S-903納豆菌」を使って納豆をつくると、糸引きが弱く、味、臭いともにマイルド。目指す納豆の基準にはならなかった。