では、どうすれば? 商品担当の社員が提案したのが、ショコラティエが扱うような、今のパッケージデザインだった。
「チョコとわからんだろう!?」
上層部からは反対意見も出た。
「即答しました。『いや。これがいい。あなた方や私たち世代がターゲットではない!』と説得を」
上に逆らっても推す。信念を支えるものが2つあった。
1つは「ターゲット層に向けた調査で『オシャレ!』『すてき』と圧倒的な支持を得たこと」。
もうひとつは、以前、自ら手を挙げブラジル出張へ行った際、提携農場でカカオ作りの奥深さと真摯な作り手の姿に感動していたことだ。
「カカオ作りを初めて見て、とても奥深く感銘を受けた。しかも日系ブラジル人の方が丁寧に育てていて『ルーツである日本で味わってもらえて光栄だ』と。この大事なカカオを正しく大勢に届けねば! という使命感が芽生えて」
だから信念を曲げず、デザインを通し切った。その結果、新生『明治ザ・チョコレート』は、累計5000万個を売る大ヒットに。さらに驚くことに、世界のショコラティエが腕を競う祭典、パリのサロン・デュ・ショコラに招待されて参加。その中の品評会でアワードを受賞した。
「結局僕らの仕事はお客様と産地の〝架け橋〟。丁寧につなぎ続け、日本だけでなく海外でも本格展開したいですね」
異端児が架ける橋。次は世界だ。
カカオの木やカカオポッド(実)を仕入れて、チョコ作りを体験するイベントなども展開。チョコ文化の深みを伝える。
本気で世界を狙ってます!
文/編集部
※記事内のデータ等については取材時のものです。