グループダンディが経営するホストクラブに一流シェフがいて、料理を提供しているという話を聞きつけ、強い興味を覚えた。ホストクラブで提供される料理はいかなるものだろうか。裏方として働く3人のシェフの思いを取材させていただいた。
■日本最古のホストクラブ『愛本店』で30年以上料理を提供しているシェフ
新宿歌舞伎町にあるホストクラブ『愛本店』では、30年以上にわたり、宮本利喜雄シェフが料理を提供し続けている。宮本シェフは三つ星レストランで10年間修行した後にホストクラブのシェフになった。バブルの時代から現在に至るまで、時代の流れに合わせて料理を提供し続けてきたという。
入店後、最初にテーブルへ届けられたのが「特製オードブル」だ。あまりの大きさとボリューム感には驚きを隠せない。料理ひとつひとつに細かく手が加えられており、これぞまさしく職人技かと、息を飲むほどだ。
そのほかにも「和牛ヒレ肉のステーキ」や「豚肉と春野菜のせいろ蒸し」、「ホタテのカルパッチョ」など、ホストクラブで提供されているとは思えないほどの本格的な料理が並ぶ。メニューは11ページにも及び、年に4回、季節ごとにメニューを変えているという。
宮本シェフは仕入れから仕込み、料理提供に至るまでをすべて1人でこなしている。どの料理も素材を生かした味付けになっており、質、量ともに大満足だ。
宮本シェフが長い間ホストクラブのシェフとして働き続けてきたことには理由がある。バブル期の前、レストランのシェフとして働いていた折、その仕事の収入だけで家族を養っていくことが難しかったそう。そこで縁があった先代の社長のつてで、アルバイトとしてホストクラブのシェフを始めたという。実際にホストクラブのシェフとして働く中で、自分の考えをしっかり持ち内容さえしっかりしていれば、仕事はどこでしてもやりがいを感じられると、正式に社員となった。以来、30年以上にわたり、「お客さんを満足させること」が宮本シェフのやりがいになっている。