■板倉東洋大前で9分停車
南栗橋を10時08分に発車すると、進行方向右側には、南栗橋車両管区が見える。田園都市線用の新型車両2020系が留置されたほか、引退迫る1800系も“いつもと違う朝”を過ごす。2007年ゴールデンウィークから臨時快速の運用に就き、多くの人々に愛されていたが、2017年秋季の臨時急行が最後の日光線行楽輸送となった。
1800系の撤退が影響したのか、沿線で鉄道を撮影する人の数が大幅に減った。ローズレッドのボディーが、沿線の原風景や、自然が豊かな風景にもっとも映えるのだろう。
車内は9割が旅行客やレールファンで占めており、乗客全員が着席できる状況だ。それでも立つ人がおり、ロングシートに“抵抗”を表しているのだろうか。
旅行客の大半は、先述した通り、キャリーバッグを通路に置いたまま。仮に特急スペーシア、特急〈りょうもう〉、6050系の後継車を投入するのであれば、各車両に大型荷物置き場の設置が必須となるはずだ。
東武特急では、 “平成のフラッグシップ”にあたる100系スペーシア。
10時23分、板倉東洋大前4番線に到着し、9分停車。特急スペーシア〈けごん13号〉東武日光行きの通過待ちをする。ここまで追い抜かれた特急は3車種で、趣味的には面白い。だが、鉄道に関心のない人にとっては、“またかよ”と思っているかもしれない。
ロングシートは、クロスシートに比べると動きやすいので、ホームの自販機で飲み物を買う、ストレッチをして身体をほぐすなど、気分転換するには、うってつけの9分停車だと思う。
■長距離ロングシートの過ごし方
栃木に到着。隣のJR東日本両毛線ホームに臨時普通電車桐生行きが到着し、4両編成の車内は混み合っている。それもそのはず、乗客の大半は、あしかがフラワーパークへ向かうのだ。この電車は2018年4月28日から5月6日まで運転。平日も運転されているのは、特筆に値する。
臨時電車東武日光行きは、新栃木を発車。10030系にとって、この先の営業運転は、2010年春以来8年ぶり。日光線の急勾配区間にも対応するため、新製当初から抑速ブレーキも備えられており、運転士にとっては、“運転しやすい車両”だ。
しかし、乗客にとって、ロングシートの長距離乗車は、きついと思う。立客がいないときは、見知らぬ乗客と顔を目が合ってしまうことや、両隣にほかの乗客がいると、過ごしにくいこともある。また、短時間乗車でも、着座幅を広くとるマナーの悪い乗客もいる。両足を意図的に広げているのだから、すぐにわかる。
車内がすいているときは、時々立ち、例えば先頭車だと前方を眺めるなど、気分転換をすればいいだろう。これは同じロングシートのJR東日本701系で、長時間乗車の苦痛をやわらげる“コツ”をつかんだ。