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心臓手術を体験して感じたこと(1)病気の発見から病名確定まで

2018.05.08

■その診断は正しいのか?

 弁膜症の発見に力を発揮する検査は聴診だ。大動脈弁閉鎖不全を例にすると、通常聴こえる音は「ドックン・ドックン」なのに対し「ドックン・シャー・ドックン・シャー」と雑音が混じる。ただ、どの医師もこれを即座に聴き取れるとは限らない。

 筆者は体調不良が気になり近所の開業医(内科)で

・微妙に調子悪い(少しダルい)
・軽いめまいを感じ時がある
・胃も重たい感覚がある
・熱はない

 と訴えると、問診・血圧測定・聴診・喉のチェックの後、医師から処方されたのは4種類の胃腸薬だった。この診断に少々疑問を感じ、翌日別の開業医(内科)の診察を受けたところ、今度は風邪の診断で解熱剤と抗生物質が処方された。

 ところが体調は回復せず熱も出始めた。海外に出る予定があったため、急遽中規模病院の夜間診療も受診したが、やはり風邪との診断。念のため、翌朝に頭部のCTまで撮ることになり、不安は最高潮に達したのだが……。

 何も問題は見つからず、やはり風邪との診断だった。

■それでも何か気になる

 それから約2週間。かなり改善していたが、まだ微妙な違和感が残っていた。すでに4人の医師から大したことはないと診断が出ているのに、どうしても気になり再び最後に行った中規模病院の内科を受診した。

 診察を担当したのは前回と違う医師。これまでと同様の流れで診察を進み、最後に聴診器を胸に当てる。すると、かなり念入りに位置をずらして音を聴いていたと思うと

「心臓に明らかな雑音があるんですよ。これは弁膜症です」

 自信たっぷりに話し、その後の心臓超音波(心エコー)検査により「大動脈弁閉鎖不全症」と告げられた。重大な状態なのか尋ねると、経過観察で構わないという。

心エコー検査

 ただ、それ以上の説明を求めても納得いく答がもらえなかったこと。この中規模病院には心臓の専門科がなかったことから、今後の治療は専門科のある病院で受けたいと申し出、紹介状を書いてもらったのだった。

■患者の本音として…

 短い間に病院を重複して受診することはハシゴ受診といわれ、決して勧められることではない。それでも筆者がいくつもの病院を周ったのは、最初の診断に納得いかなかったこと。自身の体調がいつもと違うという感覚があったから。

 結果論とはいえ、診察を担当した5人の内科医のうち、弁膜症の雑音に気づいてくれたのがひとりだけだったことも問題と思えた。もし、5人目の診察を受けなかったら、雑音はその後何年も発見されない。あるいは、発見される前に倒れていただろう。

No.2につづく

イラスト協力/(一財)北海道心臓協会
写真協力/アボットメディカルジャパン

文/西内義雄(医療・保健ジャーナリスト)

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