■多様なメディアを駆使しブランドの浸透を図る
予定になかったスリーブの開発が入ったものの、『CUPCOOK』は何とか予定通りのスケジュールで発売となった。小売店の反応は「面白い」と新しさを評価するものもあれば、「売れるだろうか?」と心配する向きもあり、反応は二分された。「バイヤーも評価が難しく、どうやって売っていいかで悩んだと思います」と鈴木氏は振り返る。
その一方で、新ブランドの浸透を図るために多様なメディアを活用した。テレビCMの放映をはじめ、YouTubeの同社公式チャンネルに特徴や使い方などを紹介した動画をアップしたほか、同社公式LINEアカウントから使い方などの情報発信を実施した。
こうした取り組みが奏功し、先に発売された〈豚しょうが焼きのたれ〉〈鶏てりやきのたれ〉〈豚キムチ炒めのたれ〉は発売から順調に売上を伸ばしていく。この勢いに乗って発売されたのが、〈牛プルコギ炒めのたれ〉であった。発売から間もないが、出だしは好調とのことだ。
〈牛プルコギ炒めのたれ〉を使ってつくった「牛肉のプルコギ炒め」の完成イメージ
★★★取材からわかった『CUPCOOK』のヒット要因3★★★
1.食べ応えのあるボリューム
4種類すべての具材にたっぷりのたまねぎを使用。カップ型プラスチック容器が一杯になるほど使ったことにより、味の良さもさることながら、食べ応えのある出来上がりをイメージさせることになった。
2.使いやすい容器
レトルトパウチの代わりにカップ型プラスチック容器を採用。ムダなく投入できるだけでなく、持ちやすく片手で使える高い利便性も実現した。
3.家庭で人気のあるメニューを提案
豚肉のしょうが焼きなど、まずは家庭料理の人気メニューに特化。食卓への登場頻度が高いものに対応したことで、消費者の手が自然と伸びた。
『CUPCOOK』は2021年度に年間売上30億円を達成するという事業目標があるという。そのために今後、ラインアップの拡充や、既存品の改良を行なっていくことになるだろう。すでにストックするほど気に入っているファンもいるとのことなので、目標実現のために、この勢いでファンを拡大したいところである。
製品情報
http://www.mizkan.co.jp/cupcook/
文/大沢裕司
ものづくりに関することを中心に、割と幅広く色々なことを取材するライター。主な取材テーマは商品開発、技術開発、生産、工場、など。当連載のネタ探しに日々奔走中。近著に「バカ売れ法則大全」(共著、SBクリエイティブ)。
■連載/ヒット商品開発秘話