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【開発秘話】300万個以上売れているミツカン『CUPCOOK』

2018.04.18

■連載/ヒット商品開発秘話

 特定の惣菜をつくるための合わせ調味料は、レトルトパウチされたものはよく見かけるが、ミツカンが2017年8月に発売した具入り合わせ調味料『CUPCOOK(カップクック)』はカップ型プラスチック容器に入っている。

『CUPCOOK』は現在4種類をラインアップ。まず、〈豚しょうが焼きのたれ〉〈鶏てりやきのたれ〉〈豚キムチ炒めのたれ〉を発売し、2018年2月に〈牛プルコギ炒めのたれ〉を追加した。すべてにシャキシャキとした食感のたまねぎがたっぷり使われており、中身をフライパンにあけ肉に焼き絡めるだけで、ボリュームのあるおかずが簡単にできる。発売以来、売上好調で、2018年2月末時点で、〈豚しょうが焼きのたれ〉〈鶏てりやきのたれ〉〈豚キムチ炒めのたれ〉の3種で300万個を突破、計画比117%で推移している。

■カップ型プラスチック容器に見出した他社との差別化ポイント

 特定の惣菜用合わせ調味料は、すでに競合他社が参入。同社は後発だが、どのような経緯から『CUPCOOK』をつくることにしたのか。MD本部商品企画部の鈴木大貴氏は、その背景を次のように話す。

「女性の社会進出に伴い共働き世帯が増加したことで、ご家庭によっては時間をかけて料理をつくることが難しくなってきました。そのため、調理の時間短縮が図れるものや簡単に調理できるもののニーズは以前から高いです。当社は、このようなニーズに対応する商品の開発を以前から方針として掲げており、お客様に提案できるものを模索しておりました」

Mizkan
MD本部商品企画部
鈴木大貴氏

 開発がスタートしたのは2015年。まず、お客様が悩んでいることや、他社との差別化ポイントが何かを探ることにした。お客様を集めて家庭で料理をつくる際の悩みなどをヒアリングしたほか、同社のお客様相談センターに寄せられた様々な声も細かくチェックしていった。

 すると、お客様相談センターに寄せられたユーザーからの声の中に、目に留まるものがあった。それは、「開けづらい」「角の中身が取りにくい」といった同社のレトルトパウチ食品に対する不満。多い不満ではなかったが、こうした声から中身がすぐ出せたり具が取り出しやすい点は他社との差別化ポイントになると判断した。「レトルト食品の『開けづらい』『角の中身が取りにくい』を当たり前のことだと思っている人もいるかもしれませんが、それは当たり前のことではなく、変えることで利便性を上げることができるのでは、と考えました」と鈴木氏は言う。

 レトルトパウチの代わりは、開けやすく片手で使えるカップ型プラスチック容器に決まった。高さや幅を細かく変えながら、片手で握りやすいものを検討。試作を重ねて、現在の大きさや形状に決まった。

試作されたカップ型プラスチック容器の一部

■急きょ紙製スリーブを開発

 カップ型プラスチック容器にはシズルなどが印刷された紙製のスリーブが巻かれているが、当初はカップ型プラスチック容器に直接、シズルなどすべてを印刷する予定でいたという。ただ、「シズルを直接カップ型プラスチック容器に印刷したところ、美味しそうに見えなかった」(鈴木氏)。いろいろ工夫してみたものの改善されなかったことから、発売の半年ほど前に急きょ、カップ型プラスチック容器への直接印刷を取りやめ、別の方法を採用することにした。

 まずはカップ型プラスチック容器を使っている食品に何があるのかを知るべく、スーパーを回り調査。プリンやゼリー、アイスクリームで使われるケースが多いことがわかったが、それらの中に紙製のスリーブを巻いたものがあった。このスリーブに、問題解決の答を見出した。

 早速、スリーブの開発に着手。デザインの変更はもちろんのこと、シズル写真も撮り直したという。

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