ディスプレイとスピーカーは違いが分かるが、総じて優秀
『iPad Pro』に比べてコストダウンしている影響が目立つのは、やはりディスプレイかもしれない。先に挙げたように、画面がガラスの奥にあるように見えるだけでなく、環境光に応じて液晶の色合いを変える「True Tone」にも非対応だ。これは、使い始めるとすぐ、その差に気づいてしまう。10.5インチ版の『iPad Pro』は、左右のベゼルが細くなっているため、ここも比べると目につく。
ナローベゼルになった『iPad Pro』に比べると、『iPad』の太い額縁が気になる
もっとも、これは『iPad Pro』などの製品を使った経験があることが前提の話。初めて『iPad』を使う人はもちろん、『iPad Air 2』あたりから、Apple Pencilを目的に乗り換える人には、さほど気にはならないレベルといえる。スピーカーの音量は現行の『iPad Pro』に比べると小さめだが、ステレオになっているため、音質は悪くない。
『iPad Pro』との違いでいえば、Smart Keyboardに非対応な点も挙げておきたい。Smart Keyboardは、ディスプレイを保護するケースとキーボードを兼ねたアクセサリーで、『iPad Pro』にはこれを装着するための専用端子が備わっている。第6世代の『iPad』には、この端子がなく、Smart Keyboardは利用できない。Bluetoothでペアリングするキーボードとは違い、装着するだけでよく、ペアリングや充電も要らないため、使いたい時だけサッと取り出してすぐに使えるのが便利だ。
『iPad Pro』にあるコネクターも省かれており、Smart Keyboardには対応しない
ただし、第6世代『iPad』でも、Bluetoothのキーボードは接続できる。Smart Keyboardは便利な反面、アップル純正のものは種類が1つしかない。カバーと一体になっているため、キーストロークも浅い。打ちづらいわけではないが、ややクセがあり、慣れるのに少々時間がかかるのも事実だ。キーボードが必要な時は、Bluetooth対応のアクセサリーでまかなうようにすれば、困ることはないだろう。
発表会では、教育用途が前面に打ち出されていた新しい『iPad』だが、ここまでコストパフォーマンスがいい端末を、学生や教師向けだけにするのはもったいない。プロ用のツールとして作られたのが『iPad Pro』ならば、新しい『iPad』は、”みんなのための『iPad』”といえる。コストダウンの仕方もバランスがよく、幅広い利用者にオススメできる1台だ。
レビュー結果
【石野’s ジャッジメント】
UI ★★★★
レスポンス ★★★★
バッテリーもち ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★
アプリの数 ★★★★★
文字の打ちやすさ ★★★★
質感 ★★★★
撮影性能 ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定
取材・文/石野純也
ケータイジャーナリスト
■連載/石野純也のガチレビュー