外務省によれば、世界の国の数は平成27年5月現在196か国になる。それら全ての国の料理をレパートリーにもつ料理人が日本にいる。その方は、本山尚義さん。若くしてホテルの料理長になった後、30か国を巡りながら料理を学ぶ「旅するシェフ」となり、今は世界の珍しい料理をレトルトパックにして販売する『世界のごちそう博物館』の代表を務めている。
本山さんが世界の料理の伝道師となったのは、「料理をきっかけに、その国のことを知ってもらいたい」という願いから。各国を渡り歩いて武者修行するうち、国による価値観の差異や種々の問題を実感したことが、きっかけとなっている。
その取り組みの一環として刊行したのが、その名も『全196ヵ国おうちで作れる世界のレシピ』(ライツ社)というレシピ集。
本書では、1か国1レシピで料理の作り方が記されており、あまり聞いたことのない国の、全く聞いたことのない料理も多数収録されている。「日本では手に入らない食材・調味料もあるのでは?」という心配はご無用。本書に載っているのは、街のスーパーで購入できる素材のみを使い、比較的簡単に作れるレシピばかりである。
実際にどんなレシピがあるか、その一端を紹介しよう。
■「ペラウ」=ほんのり甘い鶏肉のパエリア風ごはん
●セントクリストファーネービス連邦。面積が西表島ほどの、カリブ海に浮かぶ小さな島国。英国植民地、自治領を経て1983年に独立し、今も英連邦の一員となっている。
【材料(2人分)】
きび砂糖(三温糖):大さじ3、サラダ油:大さじ3
A-鶏肉:100g(サイコロ大)、玉ねぎ:1/2個(粗みじん切り)、にんじん:1/2本(いちょう切り)、ピーマン:1個(細切り)
米:1合(洗っておく)
B-ココナッツミルク:1/2カップ(100cc)、水:1/2カップ(100cc)
塩:小さじ1
【作り方】
1. 土鍋に油を熱し、中火できび砂糖を炒める。焦げる寸前(カラメルくらい)になったらAを加え、5分ほど炒める。
2. 米を加え、5分ほど炒めたらBを加え、混ぜながら5分煮る。塩で味をととのえ、フタをして弱火で15分煮る。
3. 火を止めて、15分蒸らす。
■「オジャクリ」=パクチーをのせたジャーマンポテト
●ジョージア、グルジア
本山さん:「日本では『どこにあるの?』という感じであまり知られていない国ですが、食通の間では知る人ぞ知る国なんです。わたしの知人のシェフも、『ジョージア料理は世界一美味しい』と言うほどです」
【材料(2人分)】
じゃがいも:2個(2cm幅)、豚ロース肉(カツ用):2枚(一口大にカット)
サラダ油:大さじ2、玉ねぎ:1/2個(薄切り)
A-パプリカ(赤・黄):各1/4個(薄切り)、ピーマン:1/2個(薄切り)、ワインビネガー:30cc(大さじ2)、塩・胡椒:少々
パクチー:1束(ざく切り3cm)
【作り方】
1. フライドポテトをつくる。じゃがいもを180度の油で7分揚げる。
2. フライパンに油を熱し、中火で豚肉を5分焼く。玉ねぎを加え、中火でしんなりするまで、さらに炒める。
3. Aと1.を加え、中火で5分炒める。皿に盛り付け、パクチーを飾る。