ある調査では、叱られると「やる気を失う」一般社員が約6割にも上った。昨今、叱られることが苦手な若手社員が多いということもよく耳にする。そこで「叱られる」ということの本来の意味や、上手な叱られ方を、「叱り方検定」を主宰するメンターマネジメント協会認定講師の法貴かおり氏に教えてもらった。
■上司から叱られると「やる気を失う」が約6割
公益財団法人 日本生産性本部が実施した2016~2017年の第4回「職場のコミュニケーションに関する意識調査」によると、一般社員のうち上司から叱られると「やる気になる」のは40.1%だったが「やる気を失う」一般社員は59.4%にも上っていた。叱られることに対してネガティブに捉える人のほうが多いようだ。
上司から「叱られる」ことの解釈は、人それぞれ異なるのかもしれない。法貴氏は「叱る」「叱られる」ことの意味について次のように話す。
「私は日頃、管理職やリーダーの方を対象とした『叱り方・褒め方』の研修の講師を務めることが多いのですが、その冒頭でいつも『“叱る”の反対は何でしょう?』と受講者に尋ねます。叱るの反対は『褒める』だと思っている方が多いのですが、実はそうではありません。叱るの反対は『諦める』『無関心』。そうお伝えすると、みなさん納得されます。『確かにまったく期待していない部下や後輩には、腹も立たないし、叱ろうとも思わない』ということに改めて気づかれます。
つまり『叱られる』ということは、期待されているということ。上司や先輩は『改善して欲しい』『成長してもらいたい』『もっとできるはずだ』という思いがあるからこそ、叱ってくれるんだという認識を持っていただく必要があります」
■叱られたときの誤った対応4つ
叱られるのは、期待されているからこそ。これを踏まえると、叱られたときの次の行動がいかに誤っているかを理解することができそうだ。
●受け流す
…口では謝るが、気にしていない状態。
ダメな理由:同じミスを繰り返すことになる。
●必要以上に自己否定に陥る
…行動に誤りがあっただけで、「ダメな人間だ」という訳ではない。
ダメな理由:落ち込んでいるだけでは、成長も改善もない。
●逆ギレする
…「そんな言い方しなくても!」と上司に腹を立てる。
ダメな理由:成長しないことはもちろん、誰も叱ってくれなくなる。期待されなくなる。
●責任転嫁する
…「自分は悪くない」と開き直る。言い訳ばかりをする。
ダメな理由:信頼を失う。