■さとり世代の特徴を踏まえた対策
さとり世代は、30~50代からすれば未知なる世代といえそうだ。では、指導する立場はもちろん、先輩社員として関わり合っていく中で、どんな風に付き合っていけばいいか。井上氏は次の3つを挙げる。
1.指示は細かく与え、結果とどう結びつくかを説明する
「言われたことしかやらないのがさとり世代ですので、指示する側はやるべきことをすべて細かく言うしかありません。また、その作業が結果にどう結びつくのかまで説明しないと、『結果に関係ないのならやらなくてもいいだろう』と思うのがさとり世代ですので、必ず結果との関連を含めて説明する必要があります」
2.強めの注意はしない
「結果重視のため、結果に対して強めの注意をすると、取り返しのつかないことをしてしまったと思い、極度に落ち込むのがさとり世代です。人前で行うと悪い意味で目立つため、さらに危険です。今までは、強めの注意は個人には行わず全体に行えばよいと言われてきましたが、さとり世代は全体に対して行っても落ち込むので避けたほうがよいでしょう」
3.熱い話はしない
「従来、居酒屋で上司や先輩が仕事に対する熱い想いを語る姿が典型的なビジネスパーソンでした。しかし、さとり世代にはやめたほうがいいです。彼らは『あなたたちの時代はそうだったかもしれないが、私たちはちがう。そんなに仕事に打ち込んで楽しかったの? プライベートは充実してました?』と思っている可能性が高いです」
■さとり世代と関わるときのアドバイス
井上氏に、さとり世代と関わるときの注意点のアドバイスを求めたところ、次の答えが返ってきた。
「さとり世代に限らず、世代によって考え方は異なります。常に『相手は自分とは違う』ということを頭に置いて接していくことが大切です。日本人は、ほぼ単一民族でほぼ単一言語を使うため、相手は自分と同じという意識が働きやすく、『ここまで言わなくてもわかるだろう』とか、『行間を読め』などと言い、コミュニケーションロスが発生しやすい民族といわれます。『相手は自分とは違う』という意識を持って接すれば、さとり世代ともわかりあえると思います」
【取材協力】
井上実(いのうえ・みのる)氏 M&Iコンサルティング代表
経営とITの架け橋となる人材育成とコンサルティングサービスを提供。オリジナル研修コース8カテゴリー74コースの研修サービスと、IT戦略立案、人財育成体系・研修ロードマップ構築、バランス・スコアカード導入支援などのコンサルティングサービスを提供。
http://minoru-inoue.a.la9.jp/
取材・文/石原亜香利