■あなたの知らない若手社員のホンネ~土田万葉さん(27才、入社5年目)~
20代の仕事へのモチベーションの理解、それは管理職にとって彼らとの良好な関係を築くための出発点でもある。若い人も同世代がどんな仕事に汗を流しているのか。興味のあるところに違いない。この企画は入社3~5年の社員の話にじっくりと耳を傾け、そのマインドを紹介する。
第16回目はイオンリテール株式会社 人事・総務本部 人事部採用グループ 土田万葉さん(27才)入社5年目だ。学生時代は硬式テニスの選手だった彼女。「スーパーは日常の生活に欠かすことができないお店なので、地域に貢献できるのではないか。社内にはいろんな職種がある。女性として働いていく上で、いろんな仕事にチャレンジできる」と、この会社に就職。最初の配属は惣菜売り場だった。
■エビ天の難しさを知った惣菜売り場
最初のお店は、仙台市青葉区にある仙台幸町店でした。このお店で印象に残っているのは、サラダの発注を間違えたこと。10個のところを100個とパソコンに打ち込み発注してしまった。翌日、100個のサラダが届く。
「ケタを間違えました。確認作業が漏れていました」大量のサラダを前に、びっくりする上司にそう報告すると、「次は何をしなければいけないか、自分で考えなさい」いささか厳しい口調で言われました。売れ残ったものは安価で購入し、持ち帰ればいいと思いがちですが、それはできません。売れ残りはすべて廃棄処分です。大量のサラダを廃棄処分にするのはもったいない。どうしたら売り切ることができるか。
惣菜売り場だけではなく、いろんな売り場にサラダを置かせてもらったんです。精肉売り場は昨今の健康ブームもあってか、サラダが売れました。「本日はサラダがお安くなっております」とか館内放送も流して、運よく完売しました。「よく売れたなぁ……」結果的に上司を2回びっくりさせることができたのですが。
お惣菜売り場がすごいのは、揚げ物、焼き物、炒め物、お寿司にお弁当等々、全部で50種類ぐらいの商品を自分たちで作るところです。誰でも作れるというものではなく、社内資格制度というのがあり、調理のための試験があります。私もそれを受けました。中でもてんぷらは衣のつけ方や揚げる時間等、意外と技術が必要で大変でした。購買意欲をそそるためには見た目が美しくなければいけません。海老天ならシャチホコのように、尾っぽがせり上がるように作ります。
スーパーの店舗は私のような社員は少数で、売り場は大部分、パートさんやアルバイトさんが切り盛りしています。調理も達人のパートさんがいて、例えばコロッケやカツ丼や、その他諸々のおかずのレシピが完璧に頭に入っていて手際がいい。通常10個作るのに30分かかるお弁当を15分で製造できる人がいたり。マグロやサーモン等の寿司ネタを素早く、同じサイズでずっと切り続けられるパートさんがいたり。