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入社5年目社員の本音「4年もやってもこれかよ……心が折れた日もありました」日本スピン・久保田佑輔さん

2018.03.26

あなたの知らない若手社員のホンネ~日本スピン・久保田佑輔さん(32才、入社5年目)~

前編はこちら

 若い世代の仕事への熱いマインド、中間管理職にとってその理解こそ、彼らとの良好な関係を築くことにつながる。若い人にとっても、同世代がどんな仕事に汗を流しているのか。興味のあるところだろう。この企画は入社3~5年の社員の話にじっくりと耳を傾け、そのモチベーションを紹介する。

 第15回目は横浜に本社がある日本スピン株式会社。従業員60名ほどの会社の久保田佑輔さん(32才)、入社5年目だ。日本スピンはスピニングというへら絞り技術で、国産のH−ⅡAロケットの先端部の加工はじめ、航空機部品、半導体、医療機器などの主に精密機器の部品の製造を手がけるニッチトップ企業。久保田さんはへら絞りの職人である。

 電気関係の会社で主に配線の仕事をしていたが、自分の可能性を試したいと、たまたまハローワークで見つけたこの会社に転職。金属の板にへら棒を当て、回転させながら職人のカンと技術で成形していくへら絞りに、悪戦苦闘しながらもその奥深さに魅せられ、一人前のへら絞り職人への階段を登っていく。

■早くやるのも大事だけど、品質を上げていかないと意味がない

 5年修行をしても、まだできないことはたくさんあります。例えばH−ⅡAロケットの先端部のへら絞り。僕は上司の助手として作業を手伝います。直径3mの固い種類のアルミの一枚板を回転させながら金型に当てて、へら棒を使い、板を絞りお椀型に成形するのですが、まず力がいる。さらにへら棒を扱う微妙な加減を熟知していないと、加工はできません。

 板厚が均等になっているか、X線で測りながら作業を進めますが、金属を絞れば必ず応力といって、金属の内部に抵抗力が生じ膨張する。一気にアルミの板を絞ると応力が生じバーンと素材が切れてしまう。そこである程度作業が進むと別の工場に運び、なましといって熱処理をして応力を消します。このなましを完成まで4回ほど繰り返して。板厚の誤差が1mm以下というロケットの先端部を仕上げるのに、トータルで2ヶ月半ほどかかります。

 へら絞りの職人は全員で5人。すぐ上の4才ほど年上の上司が、主に面倒を見てくれます。慣れてくると、上司のように短時間により多くの仕事をこなしたい。でも「早くやるのも大事だけど、品質を上げていかないと意味がないよ、手直しするのは時間がかかる」「早くやるのはベテランの域に入ってからだからね」

「俺が何も言わなくなるときは、仕事ができるようになった時かあきらめたときだよ」そんな上司の言葉も心に残っています。

 へら絞りはへら棒を挟む脇の下の感覚。加工している品物の形状を目で見て、機械の音でも板厚の加減を感じ、鼻で品物がどれくらい熱を持っているかを察して。へら絞りは舌以外の感覚を全て使います。だいぶ仕事に慣れてきたという過信があったのかもしれません。大失敗をしでかしたのは入社4年目の昨年でした。

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