3列シートというと真っ先に思い浮かぶのがミニバンだが、最近、注目されているのがSUV。とはいえ、居住性、快適性はどうなのか? 昨年登場した最新の2モデルを比較試乗した。
家族が多い人や子供の友達などをたくさん乗せて出かける機会がある人にとって、3列シートのクルマはとても役に立つ。だが、1BOXカーだと全高が高く、運転を楽しみたい人にとっては役不足。また3列シートでもクルマの全長が4.5m以下の場合3列目は狭すぎて実用的に使うことは難しい。少子化が進む今、3列シートのクルマの需要は少ないように見えるが、実はそうでもなく、昨年12月に発売されたマツダのSUV『CX-8』は月間販売台数1200台を計画していたが、今年1月末現在で約1万2000台の受注があったという。メーカーの予想の10倍ものオーダーが入った計算だ。今回、この『CX-8』と同じく3列シートを搭載するプジョーのSUV『5008』を比較試乗した。
◎空白のセグメントだったミドルサイズの3列SUV
日本の市場を見ると3列シートで全長4.7m前後のSUVは、日産『エクストレイル』、三菱『アウトランダー』、スバル『エクシーガ クロスオーバー7』がある。また昨年12月にはレクサスが『RX』に7人乗りを追加した。だが、国産車はどれも設計が古く、決して実用的とは言えないものが多い。アップデートされた3列シートのSUVは空白のセグメントだった。そこにマツダやプジョーが参戦。SUVに新たな提案をしようと、新型車を投入した形だ。
今回試乗した2車は『CX-8』が2.2L、『5008』が2.0Lの、いずれも4気筒ディーゼルで前輪駆動。ただし『CX-8』は4WDを、『5008』はガソリンエンジンを選択できる。ボディーサイズはホイールベースなどほとんどすべての面で『CX-8』のほうが大きい。エンジン排気量、出力、トルクも『CX-8』のほうが大きいが燃費はほとんど変わらない。
ちなみに車両価格は100万円ほど『CX-8』のほうが安いが安全装備や環境性能については大差はない。購入後の保証も新車3年保証の後の延長保証など、両車ともアフターケアのメニューはしっかり用意されている。
差が見られたのはシートの使い勝手など実用性とボディーやインテリアのデザイン。そして走行性能に対する考え方の違いだ。どちらも個性的なクルマだが、何を重視するのか、どう使いたいのかを、しっかりイメージしてから選ぶのが正解だ。