『オマエの骨、ノミで削ってやろうか!』
そりゃそうと、ジュン・サンダースって黒塗りだったよね。今のメンド臭い世の中じゃ絶対再放送できないな、アレ。
で“外耳道外骨腫血”。これがどんな病気かというと、“サーファーズイヤー”という別名もありまして、サーファーが冬の海に入って、冷たい水の刺激を長時間受けることによって、外耳道の骨が隆起して、耳の穴が狭くなり、難聴に至ることもあるという症状。
サーファー以外にも職業ダイバーもなりやすいといわれてたんだけど、どうやら長年のサウナ好きって人にも症例が認められて、その原因はサウナの高温と水風呂で冷水に頭から浸かることの交互刺激の可能性があるっつうんですよ。
ジュン・サンダースさんと違って命に別状があるというワケではなさそうなんだけと、難聴だけじゃなくて偏頭痛の原因にもなるらしいっていうんで、ま、できればありたくないですよ。
いや、“できれば”どころか絶対になりたくはないと思ったおが、その治療! 重度になると、ノミでその骨を削るっつうんですよ! おっそろしいでしょ、もう。
予防法はあるのか? っつうと、サーファーの間では、その危険性がかなり広まってるんで、耳栓をして予防するってことが広まってきてるようですよ。まぁサウナ好きの中には、サウナ室は音がしない方がいいとかいって耳栓して入る人もいるけど、サウナ室よりも水風呂の方が実は耳栓が必要だったんすね。
なんかサーファー用には音がよく聞こえる耳栓もあるらしいんで、これからのカッコいいサウナマニアはサーフィン用耳栓じゃねェの? と思ったんだけど、値段調べたら5000円くらいするってどういうこったよ! 買えねェよ、そんな高いの!
ま、安い耳栓買ってきて、水風呂に入る時だけしてりゃいいのか!
ただ、さっきのサウナの気持ちイイ話に戻るけど、耳の中に冷たい水が入ると、人間って目眩がおきるように出来てるんですよね。メニエール病を診断する時のカロリックテストってのと同じヤツね。
で、その目眩を“気持ちいい”とか“トリップ”とかとはき違えてる人もいるんだけど、耳栓しちゃうと、その感覚は感じられなくなっからね。別にオレは、それが気持ちイイとは思わないけど。
ただ耳も水中に入れると、浴室内の音が水を通して聞こえることで、なんか変わったボヨヨ〜ンってエコーかかったような音になって、それはそれでちょっといい感じなんだよね。
あのボヨヨ〜ンも味わいたい、でも外耳道外骨腫も気になるっていう人はぜひ、音も聞こえる高価なサーファー用耳栓をして水風呂に浸かってください。ほら、一応こういうちゃんとした健康的なアドバイスも書かないとね、たまには。
自分でいうのもなんだけど、オレくらいだぞ、このことをサウナ好き向けに発してんの。
ただオレが今度サウナに行く時も、耳栓なんか多分持ってかない!!
文/カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。
■連載/カーツさとうの最強サウナ熱伝