また日本盤の場合、明らかに1stプレスと判断できるレコードがある。サンプル盤という、レコード会社がラジオ番組や雑誌編集者に、プロモーションとして無料で配るレコードだ。ラジオで流れたり雑誌のレビューに載ることを目的とし、レコード発売日前に配られるので、当然1stプレスとなる。ちなみにイギリス盤のサンプル盤はほとんど見かけないが、アメリカ盤はラジオ局が多いせいか相当配られたのだろう、中古市場でたびたび目にする。
その希少性ゆえか、市販されたオリジナル盤の2倍くらいの値が付いている。僕はイエス『こわれもの』のサンプル盤と市販盤(ともにマトAでPR工場生産)を持っているが、録音のよさ(素晴らしい!!)に違いはなく同じ音だと思っている。なおアメリカ盤のサンプル盤はヒットに拍車をかけるべく、レコード発売後に再度サンプル盤を作るケースがあり、その場合はオリジナル盤ではない可能性が高いと言われている。
日本盤のサンプル盤(ジョー山中/『武道館ライヴ』) ジャケットにはシールが、レーベル中央上部に「見本盤」の文字が
アメリカ盤のサンプル盤(イエス/『こわれもの』) ジャケットには表記なし、レーベルの中央右側に「SAMPLE COPY NOT FOR SALE」の文字が
もう一つの判断方法が、レコード番号だ。『SONGS』の場合、75年にエレックレコードから発売された時はNAL-0001、76年にナイアガラレコードから再発された時はLQ-7021-E、81年にCBSソニーから再発されたときは27AH-1240となる。それぞれ帯が異なるので帯付きなら一目瞭然だが、帯がなくてもレコード番号で判別可能だ。
75年版に2ndや3rdプレスがあったかどうかは不明(ウィキには“セールス的には大きく低迷し”とあるのでないと思うが、確証はない)だが、レコード番号NAL-0001が初回規格=オリジナル盤と見なされ、76年版や81年版よりもすっと値がはる。