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中古レコードの傑作品を見つけるテクニック

2018.04.12

 話を本筋に戻す。『SONGS』帯付きオリジナル盤が店頭で28000円、ではヤフオク、あるいは僕が中古レコードを購入する海外サイトeBayやDiscogsではどうだろうと調べてみた。2月8日現在で、2点がヤフオクに出品中。1点はユニオン同様に帯付きでコンディションも良好の模様、入札12で即決価格50000円、終了時刻まで残り4日だった。即決50000円なら相場もそんなものかと推察し、ユニオンの28000円はお買い得かなと食指が動いた。

 もう1点は、帯無しでコンディション良好の模様、開始価格12800円で入札なし、残り3日だ。eBayには出品なし。Discogsには帯無しでディスクはかなり良好(NM or M-)、ジャケットは良好(VG+)で$100、しかも日本からの出品なので送料$5(イギリスから買うと約2000円、アメリカから買うと3000円以上かかる)、合計$105(11927円)という出品があった。

 日本盤の場合、帯の有無で値段が相当変わる。特に高額盤だと、その価格差が大きい。僕をマト1の世界に導いてくれた後輩・K君は昨年秋、お茶の水ユニオンで、フラワー・トラベリング・バンド『メイク・アップ』帯無し約6000円と、値段がその2倍弱の帯ありに遭遇。ところが帯無しは定価3000円の1stプレスで、帯ありは定価3400円の2ndプレス。2ndプレスのほうが1stプレスより高い、という逆転プライスになっていた。

 コンディションは同等の評価だったので、盤そのものの価値も録音のよさも上の1stプレスがお買い得と、迷わず帯無しを購入したそうだ。『メイク・アップ』はジャケットも帯も特殊なので、帯付きは特にコレクター的価値が高いのだろうが、かように帯の有無は価格に影響する。

 僕もK君同様に録音第一主義で、盤の状態さえよければ安い帯無しでいいという考えだ。だからジャケットの状態も、さほど気にしない。極論すれば、ジャケットがないゆえに格安のマト1良好コンディション盤があればそれを買い、マト1ではない安いレコードを別途買ってそのジャケットを使えばいいのだ(とはいえ、盤のみで売られているマト1を見たことはない)。僕はこのような考えなので、Discogsにて帯無しの『SONGS』を購入した(その後ヤフオクは、12800円の帯無しは落札のないまま再出品、帯付きは最低落札価格の34800円で落ちた)。

購入した帯無しの『SONGS』初回規格

 余談ながらレコードの帯は、日本独自の文化で他国にはないようだ。英語でもobiと呼ばれ、外国人に人気が高い。中古市場で1000円以下のオリジナル盤ではない帯付きレコードが、海外のサイトではその何倍かで売られている。僕は東京のリアル店舗で、外国人が安い帯付き盤を大量に買う光景を何度も見かけた。ちなみに海外の友人に、その人が好きなレコードの帯付きをプレゼントすると、きっと喜ばれると思う。

 こうして購入した『SONGS』のオリジナル盤を、CD(リッピング)、及び2015年リマスターLPと聴き比べてみた。アナログプレーヤーと、リッピングCDを再生するネットワークオーディオプレーヤーのグレードはほぼ同じなので、再生機による有利不利はないとする。ずば抜けた録音の良さで定評のある、山下達郎のデビュー・アルバム。果たして? 

 以下は、A面1曲目「Show」と2曲目の「Down Town」を続けて聴いてのインプレッションだ。まずはオリジナル盤から。初めて聴いた時は、音圧が低め(このくらいのボリューム位置ならこのくらいの音量が出るという経験からすると、やや音が小さい)、そして作品は歴史的名盤だが録音は歴史的名録音という域ではないと思った。続いて、CD。CDは1994年と2005年にリマスターされ、共にこのアルバムのプロデューサー&エンジニアである大瀧詠一が手がけている。

 僕のCDは1994版だ。アップテンポの「Show」は、オリジナル盤より元気がいい。同じ曲なのにCDの方が、なぜかテンポが早い気がする。音はオリジナル盤より輝く。オーディオをアップグレードすると、まず気づくことの一つが音の輝きだ。例えばシンバルの金属音が、よりクリアーに華やかに聴こえる。

 これまで数多くのマト1をCDと比較してきたが、初めてCDの方がいい音だと思った。そしてリマスターLP。音がさらに磨かれ、輝きが増す。こう表現すると音が硬くなったと捉えられかねないが、そうではなくCDより柔らかい音だ。音の奥行きも深くなり、リマスターLPの方がずっといい。

 オリジナル盤よりCDがよかった。リマスターLPはCDに勝る。となれば、当然リマスターLPはオリジナル盤よりいいということになる。もう一度オリジナル盤を聴く。音がやさしい、やわらかい、自然な感じがする。改めてリマスターLPを聴くと、まずその歯切れの良さやクリアーさに耳を奪われるが、やがて「待てよ、オリジナル盤の方が聴きやすくていいのでは」という気もしてくる。優劣というより、好みだろう。

 ここ数年、荒井由実、レッド・ツェッペリン、クイーンのリマスターLPがリリースされ、その都度マト1と聴き比べたが、どのアルバムもマト1の圧勝だった。だが『SONGS』は、甲乙つけがたい。リマスターLPで十分にいい音を楽しめるので、あえてオリジナル盤を買い求めるまでもないと思う。限定盤ゆえ市販在庫はないが、ヤフオクでは良品や未開封品が5000円〜10000円(定価は4320円)くらいだ。アナログレコード・ブームで、多くの人が欲しいレコードは値上がり傾向にある昨今、ファンなら早めに手に入れよう。

文/斎藤好一
元DIME編集長 17年10月に小学館を定年退職。釣り、ロック、オーディオ、ワイン、車、旅行、ファッション、コスメ、まるで『DIME』のごとく多彩に興味津々。

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