■10-000形フォーエヴァー
10-000形最後の力走を味わうべく、各駅停車本八幡行きに乗車。先頭車の貫通扉に「さよなら」のヘッドマークを掲示し、乗客らに引退を知らせる。
10-300形後期車の増備で8両車自体の運用が珍しくなっており、レールファンにとっては、10-000形の運用が絞りやすいようだ。加えて、東京都交通局は、Twitterでラスト3日間の運用予定を公表したこともあり、この一報を目にしたと思われる人の姿も見られた。
乗車する最終増備車(10-280編成)は1997年に増備されてから、まだ21年しかたっていないが、老朽化と混雑対策を理由に、引退が決まった。
この車両は、都営三田線の6300形に倣い、乗降用ドア上にLED2段式の旅客情報案内装置を設置。10-000形の一部、10-300形前期車、10-300R形は1段式のため、情報量や見やすさの点では、最終増備車が上だ。
ドアチャイムも6300形などに準じており、「開くとき」と「閉まるとき」の音が異なるので、わかりやすい。内装も従来車に比べ、明るい色調で清潔感を醸し出す。
ロングシートも着席区分が容易にわかるバケットタイプなので、坐り心地もいい。10-000形としては、“頂点を極めた車両”といえよう。
終点本八幡に到着。京王線直通の各駅停車桜上水行きとして折り返す。
瑞江で急行本八幡行きの通過待ち。停車中は“プチ撮影会”と化す。ホームの外側から轟音が響くと、乗車を続けるレールファンにとっては、撮影終了のサイン。発車後も10-000形は元気よく走り、終点本八幡に到着した。
2018年2月11日、京王電鉄笹塚21時32発の各駅停車本八幡行きが最後の営業列車となり、終点には22時18分に到着。人々の様々な想い、夢や希望などを乗せて、それぞれの目的地へ運んだ10-000形は、“記憶の1ページ”として、いつまでも走り続けるだろう。
☆コラム 都営地下鉄の車両
都営地下鉄の車両名は、都営浅草線を除き、東京都市計画高速鉄道網の号線を基準としている。
○都営三田線は「6号線」なので、車両形式は「6000番台」。
○都営大江戸線は「12号線」なので、車両形式は「12-000番台」。
○都営浅草線は「1号線」だが、相互直通運転先の京浜急行電鉄で1000形が存在していたため、「5000番台」に落ち着く。
【取材協力:東京都交通局】
取材・文/岸田法眼