話を戻す。一昨年12月、釣具店で厚い靴底によって冷気を遮断する防寒ブーツを見つけ、“この手があったか!”と購入、“これでもう寒くないぞ!”と真冬の釣りに出かけた。案の定、足下からの冷気を感じず寒くない。十分に合格だ。
しかし、やがて気づいた。ブーツの丈が短い。動いてパンツが少しせり上がると、ブーツを覆っていた裾がブーツの開口部に乗っかってしまう。この状態では、外からの水の浸入を防げない。残念! いま一歩、及ばず! 仕方なく長年使用してきたブーツに戻り、寒さを我慢し続けた。
話を戻した途端に余談だが、僕の経験では釣り用品の中古リセールバリューは高い。数回使ったものがヤフオクで、購入価格の8がけほどで落札されることも珍しくない。数度の使用を明記して前述の丈短厚底ブーツを出品したところ、購入価格8000円くらいが7000円近くで落札された。中古買い取り店もしかり。20年以上も使って見た目もくたびれているロッドキーパー「ライトラーク」(現行製品で実勢価格約12000円)に、なんと1900円の値がついた。
再び話を戻す。丈短ブーツでは駄目と判明し、丈の長い防寒ブーツはないものかと釣具店に出かけた。数種類あるにはあるが、どれも開口部が大きすぎて、僕の釣り用パンツの裾内には収まりそうもない(裾が特に細いわけではなく、極めて標準的な裾幅)。
念のため店員氏に聞いてみたが、「絶対に無理です」と太鼓判(!?)を押された。ブーツ・イン前提の丈長防寒ブーツ、船釣り用ではないだろうが、磯釣りであれ堤防釣りであれ雨は降る。どうしてあんなに開口部が大きいのだろう? その後も僕のニーズに合うブーツはないものかと、釣具店に行くたびにブーツ・コーナーを見たが出合えなかった(今になって調べると、ダイワやシマノの製品サイトにのっている。有名釣具店に展示がなかったので、頭から存在しないと思い込んでいた)。
しかし福音が訪れた。今年1月、同じ釣具店で開口部の大きさがほどよい、防寒仕様のシマノ製丈長厚底ブーツを見つけたのだ。同社サイトでは、”保温材クロロプレンが足もと全体をカバーし、エアー断熱ソールが足裏からの冷気を遮断し、優れた保温性を発揮“と説明している。小躍りするも在庫は3Lサイズのみ、僕の足には大きすぎる。1月ともなれば冬物はセールになる時期、大方は売れてしまったのだろう。
とはいえ、まだ1月だ。ネットで探せばあるに違いない。やはりあった。僕のサイズ、Lサイズ(25.5~26.0)を在庫する店が2店あり、安いほう(税込み10800円が送料無料で税込み7480円)を購入した。
一目見てOKとわかった、開口部の大きさがほどよい丈長厚底防寒ブーツ
そしてこのアマダイ・リベンジの日、丈長厚底ブーツのデビューを迎えた。早朝6時半、船に乗り込む。当日の葉山の最低気温が2度だったから、船上は3度か4度くらいか。相当寒いはずだが、足下からの底冷えを全く感じない。ついに念願が叶った。
もちろん、パンツの裾はブーツ丈をすっぽり覆い、波をかぶっても心配ない。これで50cmが来れば言うこと無しだが、そうそう世の中うまくいくものではない。以上、真冬の足下防寒対策のご参考になれば幸いだ。
最後に”水っぽい“説もある、キアマダイの味。刺身で30cm級のアカアマダイと食べ比べ、小型キアマダイの圧勝だった。ムチッとした食感かつ甘みがあり、そもそも美味しいアカアマダイを凌駕した。個体差や個人の好みもあるだろうが、僕は”キアマダイ=水っぽい説“には賛同しない。
とここで終わりのはずだったが、もう少々。最後の最後に、執念の正林さんが2月24日土曜日、アマダイ・再リベンジに一人釣行、見事に51cmを釣り上げたことをご報告してペンを置く(正確にはタイピングを終了する、と書くべきか。味気ない世の中になりつつあるが、釣りは釣り味も食べ味も健在だ)。
51cmを調理してもらった、江古田の「酒房 みやま」にて
正林さんの釣果。51cmの頭部の上2枚が、鼻たれサイズ。なんとなく、言い得て妙だ
文/斎藤好一
元DIME編集長。釣り、ロック、オーディオ、ワイン、車、旅行、ファッション、コスメ、まるで『DIME』のごとく多彩に興味津々。