豆本来の味を楽しむなら浅煎りである。
豆の産地、種類を気にする人は増えたが、焙煎に注目する人はまだまだ少ないように思う。しかし、焙煎は豆の種類と同等か、時としてそれ以上にコーヒーの味を左右する重要なポイントだ。コーヒーをより楽しむなら、焙煎についても気にしていきたい。
そこで今回は、コーヒーショップが開催するワークショップで浅煎りコーヒーについてのレクチャーを受けてきた。日本では深煎り信仰が未だに根強いが、また違った味わいの浅煎りコーヒーにもチャレンジしてみよう。
■『浅煎り』の魅力
今回ワークショップの講師をしてくれる、MOSSCORE COFFEE店長の橘川さんに、浅煎りの特徴を伺った。
◯フルーティな甘みを引き出す
橘川:「コーヒーの苦味やコク、香ばしさが強く出る深煎りに対して、浅煎りは酸味がありフルーティな甘さを感じさせる味わいになります。深煎りでも甘みはありますが、それは焦がしてカラメル化した甘みで、豆自体が持つフルーツとしての甘みを引き出した味わいとは、また違った種類のものになります」
◯すっきりしていてゴクゴク飲める
橘川:「口当たりが軽く、紅茶みたいな感覚で飲めます。コーヒーが苦手という人でも、浅煎りコーヒーなら美味しいと思えるかもしれません。もちろん豆の種類によっても変わるので、浅煎りはこういう味になる、と言い切れるわけではないですけど、一般的に『フルーティ』『酸味』『軽い口当たり』などのキーワードで浅煎りが説明されることが多いですね」
■『浅煎り』の淹れ方
続いて、浅煎りコーヒーの淹れ方をレクチャーしてもらった。(1杯=170gの場合)
◯高温のお湯を注ぐ
橘川:「沸騰してちょっと経ったくらいの温度のお湯を注ぎます。お湯の温度に関しては人それぞれで意見が違って、中には70度くらいの低温でじっくり時間をかけて淹れる人もいますが、うちの店の場合は高温で、そして短時間で淹れます。エグ味をおさえて、それでいて旨味や酸味などの良いところをしっかり抽出するには、高温&短時間がベストだと考えています。」
◯かき混ぜる
橘川:「50g(※分量の詳細は後述)ほどお湯を注いだら、全体に浸透するようにスプーンでかき混ぜます。浅煎りは豆の水分量が多く、ドリッパーの下に沈んだままうまく抽出できないので混ぜる必要があるんです。深煎りを淹れる場合は味が出すぎてしまうので混ぜない方が良いですが、浅煎り豆は短時間で一気に抽出するので、下までしっかりかき混ぜてください。ただ、ここでフィルターをうっかり破いてしまう人も多いので注意が必要です。下までしっかり混ぜる、でもフィルターに穴を開けない。これ、ポイントです」