ようやく日本でも盛り上がってきたスポーツタイプの電動アシスト自転車(以下e-bike)。ここ最近は、様々なブランドからリリースされているが、このトレックの『VERVE+(バーヴプラス)』は中でも、かなりの大物e-bikeといっていい自転車だ。
アメリカのウィスコンシン州に本社がある「トレック」は、アメリカの3大バイクブランドの一角を占めるスポーツバイクメーカー。カーボンロードバイクの開発に航空宇宙産業のノウハウを持ち込んだり、画期的な空力性能のデザインを採用したり、その技術力で多くのサイクリストを魅了してきた。その「トレック」が満を持して日本向けに投入したクロスバイクタイプのe-bikeが『VERVE+』なのだ。
ロードバイク並みの走行性能をもつ、「トレック」を代表するクロスバイクのFXシリーズと共通のアルミフレームに、バッテリー、モーターなどのドライブユニットをセットしたのが『VERVE+』。重量は20kgになったが、e-bikeとしては軽い部類に入るし、押し歩きした感覚では、取り回しも特に悪くない。
早速、乗ってペダルをひと踏みしてみると、アシストパワーが加わり、スーッと加速していく。よくある危険を感じるほどの「ガッ!」という加速感がない。もちろんモーターの設定で、ゼロ加速にパラメーターを振ることもできるが、できるだけ自然な乗り味にしたい、という自転車ブランドならではの設定といえるかもしれない。
モーターは電動ドリルなどで知られるボッシュ製。バイクの中心に位置するクランクモーターを採用したことで、前後の重量バランスがとれるだけではなく、重心を低くすることにも成功。コーナーを曲がってもモーターサイクルに乗っているときのように、安定した走りができた。
下り坂をそれなりのスピードで走ってみたが、走りは安定している。元々の自転車としてのフレーム設計が良く、フロント周りのフレームやフォークの剛性が高いせいだろう。さらにSHIMANO製油圧ディスクブレーキのタッチがかなり軽く、わずかな力でスピードコントロールが可能だった。もちろん、ディスクブレーキは雨天でもしっかり制動力を保ってくれる。