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『ワイルドターキー』4代目マスターディスティラーが伝授するバーボンの楽しみ方

2018.02.06

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

◆父と子が同時にマスターディスティラーを務めるワイルドターキー蒸留所

 ケンタッキー バーボンウイスキー「ワイルドターキー」の日本市場での独占販売契約を締結し、2018年1月より発売を開始した明治屋にて、ワイルドターキー蒸留所の4代目マスターディスティラー(蒸留所責任者)のエディー・ラッセル氏によるテイスティングセミナーが開催された。下記画像の右がラッセル氏、左は明治屋 代表取締役社長 松沢幸一氏。

 ワイルドターキーは、1869年に創業したリッピー・ファミリーによる蒸留所が起源で、アメリカの禁酒法の後、食品や酒類の卸売りをしていたオースティン・ニコルズ社の資本によりワイルドターキー蒸留所を設立。蒸留所のオーナーだったトーマス・マッカーシーが七面鳥のハンティングの際に、貯蔵庫から持ち出したバーボンを仲間に振る舞い好評を博したことがブランド名の由来となった。

 ワイルドターキー蒸留所はひとつの家族によって作られており、2015年に4代目マスターディスティラーとなったエディー氏は36年のキャリアを持つ。エディー氏の父で在職歴世界最長の現役マスターディスティラーのジミー氏は、63年にわたってバーボンを作り続けてきた伝説の人物。父と息子が同時にマスターディスティラーとなったのはワイルドターキーが初めてだ。

「父のジミー・ラッセル、そして祖父と、ひとつのファミリーが3代にわたってワイルドターキーのマスターディスティラーを務めてきた。父の持つ技術、知識は厖大なもので、今でも問題が発生した時は常に父が相談に乗ってくれる」(エディー氏)

 アメリカではバーボン製造に規定があり、原料の51%以上がコーンであること、使う樽は新樽で内側を焦がすこと(チャー)、蒸留の工程は80度以下(160プルーフ)のアルコール度数で行うこと、とされている。

 原材料は含有量が51%以上のコーン、ライ麦、大麦麦芽。同蒸留所では原料の穀物は最良の品質を使うことをポリシーとしており、コーンはアメリカ産の遺伝子組み換えではないもの、ライ麦は最高品質のドイツ産、大麦麦芽はアメリカ産のものを使用。100%遺伝子組み換えでないコーンを使っている蒸留所はワイルドターキーが唯一とのことだ。

 樽の材質はアメリカ産のホワイトオークで、一番深い焦がしレベルの「ナンバー4 アリゲーター チャー」と呼ばれる樽を使用。もっとも深い焦がし方なので木の繊維質が化学変化を起こし風味や色あいを作り出す。樽の中の熟成期間は、大半のバーボンが4年ほどの熟成だが、ワイルドターキーは最低で6年、長いものは13年の熟成を行っている。

 バーボンを作るためにもうひとつ重要なものが水。ケンタッキー州周辺の地盤は石灰岩層(ライムストーン)で形成され、ケンタッキー川の水がライムストーン層によって自然ろ過されることで、鉄分やミネラルを含まない水ができて、甘くてやわらかい味わいのバーボンが生まれる。ワイルドターキー蒸留所はケンタッキー川に面した崖の上にあり、敷地内の地下85mの泉からライムストーン・ウォーターをくみ上げている。

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