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「部下をどう喝するマネジメント」が意味をなさない理由

2018.02.06

■連載/あるあるビジネス処方箋

 今回は、株式会社ケーエムケーワールド代表取締役の車陸昭氏に取材を試みた。

 私は2010年から現在に至るまでに、車社長を10回ほど取材してきた。車社長は、ベンチャー企業や中小企業の創業経営者に見られる「仕切りたがり」ではなない。むしろ、管理職などには大幅に権限を委譲する。そして、部下を怒鳴ったりしてどう喝することもない。

 私がケーエムケーワールドの社員15~20人ほどを取材を通じて見る限りでは、長の顔色をうかがう気配がない。委縮している印象も受けない。

 車社長には、「なぜ、部下をどう喝するマネジメント」をしないのか。創業者であり、主要な株主である以上、それをしようと思えばできるはずである。ところが、しない。そこに、この会社が安定成長する大きな理由があるように思える。

 車社長は1995年4月に音響機器メーカー・ケンウッド(現JVCケンウッド)に入社後、海外営業に携わった。1999年に退社後、ケーエムケーワールドを2001年に創業した。

 ケーエムケーワールド(東京都中央区)は現在、正社員は約70人。主にシステムインテグレーションやスマホのアプリケーション開発などをする。

Q 部下である社員たちが、車社長に意見をぶつけることが許されているように私には見えます。しかも、遠慮なく、意見を言っています。創業者である社長からすると、不愉快に感じることはないのでしょうか?

 昨日も、反論を受けました…(苦笑)。数人の部長たちが参加する会議で私が意見を言ったところ、ある部長から「それは違うと思います」ときっぱりと否定されたのです。

 私も立場上、皆の前で言われると、腹が立つときはあります。しかし、私は「俺の言うことを聞け!」とどう喝することはしません。自分の考えにしがみつくこともしないし、ごり押しをすることもしません。ほとんどの社員が仕事に真剣に取り組み、使命感から意見を言ってくるのです。それを頭ごなしに否定することは避けたい、と考えています。創業の2001年の頃から、そのような姿勢で社員たちに接してきました。

 社員からは、「社長は寛大ですね」と言われることがあります。あまりにも問題がある社員には、私も厳しく言うことはありますよ…。持論なのですが、会社には、いろいろな人がいないといけない。全社員が、社長の言いなりになる「イエスマン」になる必要はありません。「イエスマン」ばかりでは、強い組織になっていかないのです。

 ただし、社会人である以上、意見の伝え方や言い方、発言するときの態度や節度は守るべきです。超えてはいけない一線もあります。それらを私も守ります。社員たちも守らないといけない。そして、日ごろから仕事にはしっかりと取り組んでほしい。周りから認められる社員にならないといけない。そのあたりのことをきちんと心得えたうえでの発言や議論ならば、否定しません。むしろ、歓迎します。

Q 社長としてのメンツがなくなる、とは思われないのですか?

 社長や役員、管理職、一般職という立場や役割を心得て、責任をもって発言をすることはもちろん大切です。ただし、仕事で起きた課題や問題の客観的な事実について立場を超えて意見を言い合うことは認められないといけない。

 そのような場では、私のメンツはいいんですよ。私ひとりで会社が成り立っているわけではないのです。社員が指摘する内容や意見、考えが事実関係として正しく、実態を適切に踏まえたものであるならば、私はそれらを認めます。

 私は、管理職が集まる会議でもよく言います。「部下とコミュニケーションをきちんと取ってほしい」と…。当社にはいないと信じていますが、世の中には、叱ったり、どう喝したりすることでしか、部下を動かすことができない管理職がいると聞きます。社長や役員になると、そのような人が増えるのかもしれません。

 しかし、それでは「自己満足」であり、コミュニケーションとは言わないでしょう。部下が何かを言えば、「ダメな社員」と見る管理職や役員、社長もいるようですね。私はそのような人の下では、人は育たないだろうと思います。

 自分の考えや意見を盛んに伝えるだけの管理職や役員、社長もいるのではないでしょうか。私はそれもまた、問題があると考えています。

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