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入社5年目社員の本音「先頭に立って行かなければ、と戸惑い泣きました」はとバス・岩崎里紗さん

2018.01.24

●『注意!』と書かれた一枚の紙

 一緒に手配の仕事をしていた3歳ほど年上の先輩の女性を私は尊敬しています。入社してしばらくは先輩が率先し仕事をこなし、私はそれについていくという感じだったんです。例えば、バスは1台44人乗りですがある時、私の担当したコースで40人分しか食事場所の手配ができなかった。ですから、コース参加の定員数を40名としておかなければいけなかったのに、応募人数が44名になっていて。それも先輩が気付いて、

「満席になったらどうするの? 4名のお客様に食事が行き届かないじゃない」と、指摘され「すみません、気をつけます」といった具合でした。 

 ところが入社から1年半ほど経たある日、『注意!』と書かれた一枚の紙を先輩から手渡されたんです。そこには、

『これからあなたは、今まで以上に考える人にならなければいけないのだから、そこを意識して仕事に励んでください』という内容が書かれていた。先輩が異動になったんです。

 どうしよう……先輩が異動になった寂しさと、これから私が先頭になって考え、仕事を進めていかなければならない戸惑いとで、思わず泣きました。

 代わりに別の部署から定期観光部に異動してきた先輩は、バスを割り振る調整とか、食事場所の手配とかの仕事経験がない。今度は私が先輩に対して仕事を教える立場で、いったい何をどう教えていいのか。しかも先輩の異動の時期が秋の繁忙期と重なって、ほとんど一人でバスの仕入れや、お客様の食事場所の手配をしなければならない。振り返るとあの時期が一番悩みました。

 仕事はシフト制で土日に関係なく、出社する。繁忙期のこの時期、岩崎さんの残業時間に友達は驚いたという。だが、間違いが許されないポジションでの悪戦苦闘が、岩崎里紗さんの成長を促していくのだ。

取材・文/根岸康雄

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