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海外の長時間通勤者に学ぶ「痛勤」との賢いつき合い方

2018.01.16

「超エクストリーム通勤者」の例として、2人を挙げよう。

ワシントン州のポートハドロックという小さな町に住んでいるクリストファー・グラントさんは、間に海を挟んで毎日80キロ離れたシアトルの職場に通っている。まず自宅をマイカーで出発し、フェリー港を目指す。港につくのは1時間後。車を降りてフェリーに乗り換え、1時間ほどフェリーに揺られて過ごす。シアトル沿岸に上陸したら、そこから徒歩で30分ほどかけてオフィスに向かう。しめて片道2時間半の通勤時間。しかも、家族とともに夕食をとることを奥さんと約束したため、勤務先のシフトを6時~15時の時間帯に変えたという。皆が寝静まっている時間に起床し、朝日も出ないうちに出発するのは楽ではなく、ガソリン代やフェリー運賃が、1か月あたり550ドルかかるのも悩みの種だという。

フランス生まれのガイレーヌ・オールドロイドさんは、結婚を機に夫の住むロンドンへ移住したが、その後離婚してしまった。離婚を機に2人の子供とともに、故郷のブーローニュ=シュル=メールに帰ったが、イギリスでの教師としての仕事に未練が大きく、フランス=イギリス間のエクストリーム通勤を決断した。彼女は毎朝6時に起床し、身支度を整えるやマイカーを駆ってコケルという町に向かう。コケルで自分の車から降り、知人で同じくイギリスに通勤する女性の車に同乗して、10キロ離れたユーロトンネルへ。出国審査を済ませてユーロトンネルをおよそ30分で通り抜け、イギリスの入国審査をパスしたら、アシュフォードという町を目指す。アシュフォードで同乗の女性と別れ、停めてあった別のマイカーに乗り換えて、勤務地のメイドストーンの町を目指す。最終目的地に到着するのは現地時間の午前8時だという。フランスとイギリスの時差があるので、乗り物に乗っている実際の時間は2時間を超える。往復すると1日の通勤時間は6時間近くになる。

これらはやや極端な例かもしれないが、様々な事情があって長時間の「痛勤」を強いられている人たちは、日本だけでなく、たいていの国の大都市で普通にみられるようになっている。長時間通勤は限度を超えると、ストレスが増し、間食が多くなり、睡眠時間や家族と過ごす時間が減るなど、健康や生活の問題に直結し、病気や離婚を招くことすらある。もちろん、フレックス通勤によって満員電車を避けたり、週に何回かテレワーク(在宅勤務)をすることでリスクを緩和できる。しかし、住んでいる場所か職場を変えるかしない限り、抜本的な解決は難しいし、そもそも簡単に引っ越しや転職ができるなら、最初から苦労はない。なので、大半の人はいろいろと折り合いをつけて日々の通勤をやり過ごしている。最近は、寝るとかスマホとにらめっこして過ごすといった消極的な方法でなく、以下のようにもっとアクティブに通勤時間を活用する人が増えている。

リンジー・ファークワーさんは、ある日乗ろうとした列車を逃してしまい、次の電車を待っている間に「そうだ編み物をやろう」と閃いたという。彼女は、編み物の雑誌と道具を一式買い揃え、通勤時には編み物に熱中するようになった。この趣味が高じて、宝飾品を作ったり、絵を描いたりしはじめ、彼女にとって通勤列車はアトリエのようになった。電車の乗務員がファンになるなど、彼女はちょっとしたご当地有名人になっている。

エイミー・ディケッツさんは、ロンドンの地下鉄を使って片道45分の通勤している。彼女は、通勤時間をもっと有意義に過ごそうと思い立ち、「COMMUTE BLOG」(通勤ブログ)という名の個人ブログを立ち上げた。このブログには、地下鉄の乗客が写った写真が多数掲載されているが、みな見知らぬ人である。彼女は、通勤時にカメラ片手に乗客に話しかけ、「何か自分がびっくりするようなことを話してほしい」と頼むのだという。唐突に話しかけられた人の大半はうろたえるが、お互い退屈な通勤時間を持て余している身ということで、気さくにレスポンスを返す人もいる。彼女のブログに載っているのは、ブログの趣旨を理解し、面白い話を提供してくれた人たちである。こうして彼女は、本来は愉快でない通勤時間を楽しく過ごしている。

日本だけじゃなかった!海外の長時間通勤者は「痛勤」とどう折り合いをつけている?
(「COMMUTE BLOG」より)

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