大手食品メーカーの参入で、近所のスーパーでも目にするようになったアーモンドミルク。2017年には5月30日が「アーモンドミルクの日」と制定され、牛乳、豆乳に続く「第3のミルク」と呼ばれるなど、ヘルシー飲料としてこれから流行しそうな勢いを見せている。
とはいうものの、「名前は聞いたことがある」か「全く知らない」という人が過半数を占め、認知度はまだ高くない。そこで今回は、アーモンドミルクに関する基本的な知識を幾つか紹介したい。
●実は古い歴史があるアーモンドミルク
食品加工技術が進歩した近年の発明品に思えるアーモンドミルクだが、実はその歴史は古く、ルネサンス期初期には既にあったという。中世ヨーロッパの修道院では、肉や乳製品の摂取が禁じられる四旬節の期間に、聖職者が牛乳代わりに飲用していたことが、よく知られている
ヨーロッパの貴族はこれをスープとして飲み、18世紀になると清涼飲料としてカフェで提供されるようになった。カフェ好きで知られる作曲家のモーツァルトも、アーモンドミルクを飲んでいたようである。
●米国では「植物性ミルク」のシェアでトップ
米国では、健康意識の高まりとともにアーモンドミルクの需要は急増し、2011~15年の5年で250%の伸びを見せた。現在では、豆乳やライスミルクといった「植物性ミルク」の中でも、売上ベースでダントツのシェアを誇っている。
ミランダ・カーやヴァネッサ・ハジェンズといった、一流モデルやハリウッド女優らに愛飲されていることも、米国で人気のドリンクとなった理由のひとつに挙げられるだろう。
●アーモンドミルクの健康効果は?
アーモンドミルクが米国のセレブに好まれているのは、さまざまな栄養素がバランス良く含まれていることが大きい。特にビタミンEが豊富に含まれており、吸収率も高いのがアピールポイントとなっている。
ビタミンEは、別名「若返りビタミン」と呼ばれるほど、抗老化や生活習慣病予防の効果が高いとされ、強い抗酸化作用もある。また、月経前症候群、生理痛、冷え性などの婦人病を改善する効果もある。そして、最近の研究ではアーモンドには、糖分の摂りすぎによって体内に生成される「終末糖化産物」(AGEs)を減少させるはたらきがあることがわかっている。こうした理由から、ビタミンEに富むアーモンドミルクは、「アンチエイジングドリンク」とも呼ばれている。