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地方在住の伝説のナイフ職人に聞く「モノの売り方」

2018.01.11

■各国の要人も注目

「老練の職人」といえば、無口で頑固な性格というイメージがある。

 だが、松田氏の人柄はその先入観を大いに覆す。陽気で温厚、という表現はいささか単純すぎるだろうか。だがいずれにせよ、どのような相手も笑顔にしてしまうような温かさが松田菊男という人物の特徴なのだ。

 松田氏は今や、世界中のイベントからVIPとして招待状が送られるほどの存在である。アメリカの警察関係者と次期制式採用ナイフについて会談したかと思えば、ロシアに行って中央政府に近い要人と話をしたりもする。

 招待されたついでに射撃場へ行って、銃を撃ったりもする。SWATの隊員も驚くほどの腕前で、よくほめられるそうだ。研削作業の際に使う筋肉が射撃にも生かされているのだろう、というのが本人の談。

 そんな松田氏に、筆者はこんな質問をした。

「製品のブランド価値を守るには、どうしたらいいですか?」

■「面白いもの」を作る

 先日、筆者が@DIMEで執筆したインドネシアの革靴ブランドについて、松田氏に相談した。

 ジャワ島スンダ地方は皮革産業が盛んだが、そのことが外国人にほとんど知られていない。だからクラウドファンディングで出資を募って成功させたが、問題はその後である。欧米の国際的皮革ブランドが立ち並ぶ中で、新興国のスタートアップが新しく市場を開拓していくことは大きな困難を伴うはずだ。

 また、欧米製品よりも安い値段でセールスを展開すれば、確かに一定の成功は収められるかもしれない。だが、その代償として「このブランドは欧米製品の亜流」と見なされてしまう危険がある。それを回避するには、どうすればいいのか?

 それに対して松田氏は、

「市場は自分で切り開くもんや」

 と、返した。

 松田氏も当初は、ラブレスのナイフに追随したデザインのものを製作していたという。売れるには売れたが、やはりそれは「亜流」である。だから「面白いもの」を作ることにした、とのこと。

「いいものはたくさんある。面白いものはなかなかない。だからインドネシアの革製品も、イタリアやフランスのものより面白いものを作れば注目されるはずや」

 もしその製品が「亜流」のままで留まっていたら、待っているのは価格競争だという。

「本流」はひとつだが、「亜流」は複数ある。すると数ある「亜流」の中で「いかに安く売るか」ということの争いになってしまう。そうなったらカルテルでも作らない限り、「亜流連合」はいずれ共倒れを起こす。

 職人に対するフェアトレードが、こうして有名無実化してしまうのだ。

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