■スーパーツイーターにコンデンサーは不可欠
フルレンジ一発では不要だったネットワークがマルチWayスピーカーには不可欠である。カンタンに説明すると、ツイーターやスーパーツイーターは高域専用のユニットなので、低音がドーンと入ると壊れてしまう。そこで低域をカットして高域だけを流すためにローカット用のコンデンサーを挟む。同様にウーハーに高域の信号を入れないため、ハイカット用のコイルを挟む。さらにツイーターとウーハーの能率を揃えるために抵抗を加えたものがネットワークである。理想はネットワークレスなのだが、専用設計でないと無理だし、ツイーターにはコンデンサーが不可欠となる。
フルレンジ+スーパーツイーターであれば、コイルは不要でコンデンサーだけで問題ないはずだ。しかし、話はまだ終わらない。接続するコンデンサーの容量によってスーパーツイーターのクロスオーバー周波数が決まってくる。これはどの周波数でフルレンジと音を切り換えるかということで、具体的にはスーパーツイーターの高域をどこでカットするかを決める。使用中の8cmフルレンジの特性を見るとかなり高域まで伸びているので、これとかぶると高域が強すぎるかもしれない。なるべく高い周波数でクロスさせたい。カットオフを決める数式があり、それで容量が決まる。まあ、最終的には試聴して決めるのだが。そんな時に便利なのが『キットCRP』(3500円税込)である。何とスーパーツイーターに適した3種類の高品質フィルムコンデンサーとセメント抵抗2種類が付属して、音質をチューニングできるのだ。
DigiFi『キットCRP』(サウンドチューニングキット)。コンデンサー、抵抗、接続に必要な丸型圧着端子も含まれハンダ付け不要。実際のキットには4本の抵抗が入っているが写真は2本使用中。
こちらがキットに含まれる2セットの抵抗。これを組み合わせてマイナス6dB高域の能率を下げられる。
『DigiFi/DF20 TSA』を使えば、面倒な抵抗の配線もハンダ付け不要でおこなえる。また、試聴の時に交換するのもカンタンなのだ。これで組み合わせが決まったら圧着端子で確実に接続する。
実際の試聴ではスタンドの置く位置をフルレンジより後退させて位相と能率を調整している。