■人はなぜ会話中に「えーと」「あの」と言ってしまうのか
「脳の学校」の代表であり、『脳コンディショニング』の著者である加藤俊徳先生
「人が会話中に『えーと』『あの』を言ってしまう理由は、頭の中に会話の答えが浮かんでおらず、その答えを探して頭の中をかけめぐっているためです」。
そもそも人の脳は、場所によって機能がいくつも分かれている。加藤先生はこれを「脳番地」と呼んでいる。その中でもメインとなる脳番地が以下の8つ。
1.思考や判断に関係する脳の司令塔「思考系脳番地」
2.喜怒哀楽など、感性や社会性に関係する「感情系脳番地」
3.コミュニケーションを担当する「伝達系脳番地」
4.体を動かすことをつかさどる「運動系脳番地」
5.物事や言葉など外部から与えられた情報を理解して役立てる「理解系脳番地」
6.耳からの情報に関係する「聴覚系脳番地」
7.目で見た情報を集積する「視覚系脳番地」
8.覚える・思い出すことに関係する「記憶系脳番地」
「人と会話する役割を果たす『伝達系脳番地』に、会話の答えがあるときは『えーと』『あの』を言う必要がありません。しかし答えがないときは、そういった言葉を言いながら、他の脳番地をめぐって答えを探しています。さらに、この行動に慣れてしまった人は、『えーと』『あの』と声に出した方が物を考えやすくなってしまっています」。
では、そういった言葉なしに物を考えて話す方法はないのだろうか?
「対処法としては、考えるスイッチを切り替えてみることです。『えーと』『あの』というスイッチの代わりに、机をトントンやったり、指をもてあそんでみたり、『運動系脳番地』にスイッチをシフトすると、そういった言葉が減るはずです」。
確かに指をもてあそんだり貧乏ゆすりをしながら会話する人を見かけたことがある。それもその人なりの考えるスイッチなのかもしれない。さらに加藤先生はもう1つの対処法として、右脳を強化するべきと挙げた。
「そもそも『えーと』『あの』と言うことは、間合いを取ろうとする行為でもあります。これは右脳が相手の情報を正確に得られていないために『ちょっと待てよ?』と考え、そういった言葉でつないでいる間に相手の意図をくみ取る発言を探しているのです。右脳を強化できれば、相手の情報を視覚的に得ることができるようになるので、『えーと』『あの』という言葉も少なくなるでしょう」。