◎写真には「見せ合う」楽しみがあるはずだ
では『写ルンです』の現在はどのようなものか。写真製品の品質保証を担当する河岡芳樹氏が話す。
「デジカメは画像をシャープに加工してくれます。逆に言えばアナログは、独特の柔らかさを持った写真が撮れるのです。だから、あえて『写ルンです』での撮影を好む愛好家の方たちがいらっしゃるのです。さらには水中で撮影する際に、高価なデジカメに万一のことがあったらいけない、と防水タイプの『写ルンです』を使っていただくケースもありますね」
同社は「写真はプリントしてこそ生きる場面がある」とも考えているようだ。現在、写真事業のマーケティングを担う種田進氏が話す。
「撮影した写真をフォトブックにしたり、カレンダーにしたり、といったプレゼントは、例えば夫婦や遠方にいる家族への贈り物として非常に喜ばれています。今も世界には約8000億円ものプリンティングの市場があります。実はスマホの普及により、写真撮影の機会自体は爆発的に増えているのです」
そんな要素もあってか、インスタントカメラ『チェキ』は、デジタル全盛の今も大いに売れ続けている。
「実は社内でも、送別会などの時に『チェキ』で撮影し、皆でメッセージを書き込むことが多いんです。写真にはそんな『見せ合う楽しみ』があるのでしょう」(種田氏)
こんな愛情深い社員に見つめられ、富士「フイルム」の『写ルンです』は30年目を迎えた。
長くフィルムの研究畑を歩み、現在は医薬品、化粧品事業を管掌する。
株式会社富士フイルム
ヘルスケア ラボラトリー
マネージャー
武田靖子さん
化粧品ブランドマネジメント担当。アスタリフト立ち上げから関わる。
富士フイルム株式会社
コーポレートコミュニケーション部 マネージャー
高林由希子さん
広報担当として、会社が激変するさまをつぶさに見てきた。
(左)富士フイルム株式会社
イメージング事業部
統括マネージャー
種田 進さん
プリント商材や、ヒット商品『チェキ』の拡販に努める。
(右)富士フイルム株式会社
イメージング事業部
統括マネージャー
河岡芳樹さん
写真の部門を盛り上げるべく、品質の向上に取り組む。