日本、いや、全世界でお世話になったことのない人はいないであろう超絶便利ツール「Wikipedia」。私たちはウィキペディアの便利さを嫌というほど理解しているが、その歴史や運営の仕組みはイマイチ知らない。そこで今回はウィキペディアについて取り上げたい。
しかし! 筆者、いきなりつまずいてしまう。なんと日本には「ウィキペディア・ジャパン」的なものは存在しないのだ。詳しく調べてみると、有志でウィキペディアを支えている人々はいるが、それはすべてボランティア。しかも無償。そのためウィキペディアに関する公式見解が知りたいならば、ウィキペディアを運営する「ウィキメディア財団」に頼るしかない。この財団はアメリカ・サンフランシスコに本部があり、当然日本語は通じない。こりゃまいった。
そこで筆者は知人の通訳者・松澤友子さんの力を借りて、英語で取材を敢行した。ついでに「これぞ良い機会」とばかりに、「ウィキペディア上で編集合戦が起きているが、どう思います?」「日本人はウィキペディアにあまり寄付をしていないですね」など、つっこんだ質問もしてみた。
■翻訳で垣間見たウィキペディアの文化
ウィキメディア財団からの回答を載せる前に、まずはウィキペディアの誕生についてご紹介したい。ウィキペディアには「ウィキペディア:プレス」というページがある。ここは報道関係者のための情報とリンクを集めているページで、そのひとつに「ウィキメディア財団のプレスルーム」がある。どうやらここもウィキペディアに関する公式見解が書かれているようだ。「ほう」と思い、筆者がリンクを開くと……。
英語だった……。
筆者の英語力では1万年かかっても翻訳できそうにない。そこで松澤さんに「直訳で構わないので、ウィキペディアの歴史や概要が分かる部分を翻訳してほしい」と依頼した。そして後日、松澤さんから資料が届いた。翻訳が完成したそうだ。資料を開いてみると……。
13000字……!? しかも「まだ翻訳していない部分があり、必要ならばそこも翻訳します」とのこと。なんて情報量なのか。ここで筆者は思い出した。ウィキペディアを覗いていると、まどろっこしいほど事細かに書かれた文章に出会うことがある。いつも「なぜこんな律儀で細かい文章を書くのか?」と疑問に思っていたが、どうやらそれは脈々と受け継がれるウィキペディアの文化だったのかもしれない。
話がそれてしまった。次はウィキペディアの誕生についてご紹介したい。